マルクス・レームの登場は、まさしく革命的な出来事と言わねばならない。健常者による一般のスポーツと、障害者スポーツとの間の境を、この義足ジャンパーは軽々と跳び越えてしまったのだ。

東京2020パラリンピックまで1年を切り、パラリンピックチャンピオンのマルクス・レーム選手はそのときを待ちきれない思いで待っています。マルクス・レーム選手は現在31歳。2019年8月25日(日)に東京2020パラリンピック1年前カウントダウンイベントのデモンストレーションで、8.50mという驚くべき跳躍を見せてくれました。代々木公園で数百人が見守る中で、2018年に自ら出した走り幅跳びT64の世界記録(8.48m)を更新。公式記録としては認められませんが、東京2020パラリンピックで3大会連続のパラリンピック金メダルを狙うマルクス・レーム選手にとって、勇気づけになりました。「東京2020パラリンピックでも同じようなジャンプをして記録を更新できるように一生懸命トレーニングするつもりです。だからぜひ観に来てください」と話しました。「ブレード・ジャンパー」としても知られるマルクス・レーム選手は、過去3回のオリンピックでも金メダルを獲得できた可能性があります。現在のT64レコードは、1991年にアメリカのマイク・パウエルが出した8.95mの世界記録にもさほど遠くはないのです。東京2020パラリンピックは、ロンドン2012パラリンピックよりも規模が大きくなりつつあり、1年前イベントでも大きな反響を呼び、多くの人が楽しみにしながら応援しています。「パラリンピックの陸上競技への関心がどのように高まっているかを見るのは素晴らしいことです......大会の顔になれることが嬉しいことですし、その役割にふさわしい人物になれるよう最善を尽くしたいと思います」とマルクス・レーム選手。「できるかぎり遠くまで跳んで、パラリンピックの選手がオリンピックの選手と同等であることを世界に見せたいと思って努力してきました。私たちはプロの選手であり、素晴らしい競技や素晴らしいパフォーマンスを見たいならパラリンピックを見なければと思ってもらえるように。パラリンピックはすごいですよ」リオ2016パラリンピックの閉会式のあと、マルクス・レーム選手は、東京2020パラリンピックに向けてドイツチームを作ることを視野にいれ取り組んできました。「リオ2016パラリンピックを終えて、少し休みを取ってから東京2020への準備を始めました」「それまでにいくつか大事なイベントがあります。今年はドバイでの世界大会があります。これが次の大きな目標ですが、それが終わって少し休んでから東京2020に焦点を合わせていきます」マルクス・レーム選手は東京に5度来ていますが、大会が近づくにつれて、東京2020パラリンピックの開催都市に戻ってくるのがより楽しみになり、東京を訪れるたびに興奮が増すといいます。「初めてスタジアムを見ることができました。すてきですね。開会式で(スタジアムを)歩くのが待ちきれません。開会式だけでなく競うのも待ちきれないです」障がい者スポーツは1世紀以上にわたる豊かな歴史がありますが、第二次世界大戦後まで広く知られていませんでした。1948年にストーク・マンデビル病院で開かれた大会は、軍人および女性である車いすのアスリートにアーチェリーに参加する機会を与えた最初の競技大会でした。それがパラリンピックの始まりでした。ストーク・マンデヴィル大会が開催されてからわずか12年後、23か国から400人以上の選手が競い合い、ローマで初めてのパラリンピックが開催されました。それ以来、世界中の障がい者アスリートが4年ごとに1つの都市に集まり、スポーツの頂点に立つことを祝い、東京2020パラリンピックでは、4400人のアスリートが22の異なるスポーツで競い合います。パラリンピックはもはや障がい者スポーツのコミュニティを超えています。「東京2020パラリンピックは障がいのある人だけでなく、障がいのない人にも大きなインパクトを与えるでしょう」とマルクス・レーム選手は話します。「パラリンピックのアスリートには感動的なストーリーがあり、生きていく中での困難な状況や先入観、挫折なども乗り越えて参加しています。パラリンピックのアスリートから学べることがたくさんあると思います」「私は他の人の話を聞き、彼らが乗り越えてきたことを聞くのが好きで、それは私自身にとって今も刺激的です。それは素晴らしいメッセージだと思います」 1988年生まれの31歳。スポーツ好きのやんちゃ坊主だったレームは、14歳の時にウェイクボード練習中の事故で右足ヒザ下を切断、義足での生活が始まった。レームは現在も、国際陸上競技連盟が求める「競技用義足が有利に働いていないことの証明」を追求している。が、国際陸連が求める答えを出すには至っていない。だからと言って、オリンピック出場を諦めたというわけではない。

マルクス・レームは、現役パラリンピアンの中でも、最も世界的に有名な選手の1人だろう。陸上競技・走り幅跳びで2012年ロンドンパラリンピック、16年リオパラリンピックで2連覇している。何よりレームを有名にしているのが、その記録だ。 2020年東京パラリンピック開幕まで、ちょうど1年となった今年の8月25日。ドイツの義足ジャンパー、マルクス・レームが、東京・代々木公園陸上競技場で行われたイベントで走り幅跳びを披露し、非公認だが世界記録を上回る8m50を跳んだ。 マルクス・レーム選手は東京に5度来ていますが、大会が近づくにつれて、東京2020パラリンピックの開催都市に戻ってくるのがより楽しみになり、東京を訪れるたびに興奮が増すといいます。 「初めてスタジアムを見ることができました。すてきですね。 義足選手への「加速装置」「道具ドーピング」等の批判が巻き起こり、 今もなおくすぶり続けています。 そんな中、昨年7月のドイツ国内の陸上選手権大会で、 障がい者の走り幅跳びで世界記録を持つマルクス・レーム選手が、 健常者を破って優勝。 出版社勤務を経て、フリーのライターに。1998年の長野パラリンピックを機に障害者スポーツの取材に携わり、「Tarzan」「スポーツグラフィックナンバー」など雑誌やインターネットメディアで執筆。12年ロンドンパラリンピック、14年ソチパラリンピックではNHK開会式中継解説を担当した。著書に『心眼で射止めた金メダル』『希望をくれた人』『みんなちがって、それでいい』。日本スポーツプレス協会理事、国際スポーツプレス協会会員。