非小細胞性肺がんを発見、診断、病気分類するために肺を調べる検査が用いられます。 諸要因により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。 非小細胞性肺がんのほとんどの患者さんにとって、現在の治療法では治癒を望むことは困難です。 ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号6091713号)です。国内外多施設共同パシフィク試験の結果では、CRT後に偽薬を投与したプラセボ群とCRT後にイミフィンジ(R)を投与したイミフィンジ群の2群に分け、再発までの期間などの比較を行なった。CRT後のプラセボ群は再発までが5.6か月だったのに対し、イミフィンジ群は16.8か月と約1年の差があった。生存率も15〜20パーセント向上し、CRT後の維持療法としての効果が見込めることがわかった。肺がんは自覚症状が少ないまま進行し、転移もしやすいため、手術が難しい進行がんで見つかることが多い。Ⅲ期の非小細胞(ひしょうさいぼう)肺がん(腺がん、扁平上皮<へんぺいじょうひ>がん、大細胞がん)に対する治療は抗がん剤と放射線の併用療法だが、昨年新しい治療薬が承認された。肺がんの新規患者は年間13万人を超え、年間死亡者数も、約7万人とすべてのがんの中で一番多い。そんな状況の中、昨年20年ぶりに、新しい治療薬として免疫チェックポイント阻害剤(商品名:『イミフィンジ(R)』)が承認されました」「Ⅳ期の非小細胞肺がんに対しては、抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用もなされるようになっています。ただⅢ期にCRTとイミフィンジ(R)の同時併用療法が可能かは現時点では不明で、これから研究を進めていきたいと考えています」(中川教授)非小細胞肺がんに対する治療は手術、放射線、化学療法(抗がん剤)、分子標的薬に加え、現在は複数の免疫チェックポイント阻害剤が承認されている。免疫チェックポイント阻害剤とは、がん細胞の表面に現われる、たんぱく質のPD-L1がPD-1と結合することで免疫機能が抑制されるのをブロックし、免疫機能自体を活性化させる。イミフィンジ(R)は化学放射線療法(CRT)を行なった後に、点滴で投与を開始、1年間継続する。イミフィンジ(R)の副作用としては発疹、甲状腺機能低下、下痢、間質性肺疾患などが報告されている。すでに非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤はオプジーボ、キイトルーダ、テセントリクが承認。この新薬の登場で、進行した肺がんに対する治療の選択肢が広がるのではないかと期待は大きい。昨年、Ⅲ期の局所進行非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤が、新たに承認された。肺がんの約85%は非小細胞がんで、根治治療としては手術が第一選択だが、ほぼ無症状で進行することが多く、約6割が進行がんで見つかる。イミフィンジ(R)は抗PD-L1抗体で、がん細胞にあるPD-L1と結びつき、PD-1との結合を阻害し、休眠していた免疫担当細胞(T細胞)の働きの再活性化を促進、がん細胞を攻撃して死滅させる。化学放射線併用療法後に、免疫チェックポイント阻害剤を投与するもので、再発までの期間を大幅に伸ばす結果が報告されている。「Ⅲ期の限局型進行非小細胞肺がんは非小細胞肺がんの17パーセントを占めています。Ⅲ期は切除可能から、不能なものまで多様ですが、手術をしても成績が良好とはいえません。これまで抗がん剤と放射線の併用療法が多く選択されてきましたが、治癒率は20%程度でした。 ビジンプロは、イレッサと直接比較したP3試験「ARCHER1050」でPFSを有意に延長。日本では優先審査品目に指定され、18年5月の申請から7カ月でのスピード承認となりました。同薬は臨床第3相(P3)試験「FLAURA」で、既存のEGFR-TKI「イレッサ」(一般名・ゲフィチニブ、アストラゼネカ)や同「タルセバ」(エルロチニブ、中外製薬)と比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に延長。日本肺がん学会の「肺がん診療ガイドライン2018年版」では、一次治療として最も強く使用が推奨されています。アストラゼネカのステファン・ヴォックスストラム社長は「一次治療でのタグリッソの使用はさらに増えていく」と見通します。長らくイレッサが中心だったEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの治療は、タグリッソの登場で大きく変わってきています。相次いで発表された有望な臨床試験結果…新型コロナワクチンへの期待高まる【2020年版】製薬会社年収ランキング 1000万円超えは11社 中外も大台に…トップは今年もソレイジアPARP阻害薬にCDK4/6阻害薬…乳がんに新薬ラッシュ 免疫チェックポイント阻害薬も申請間近2018年8月、アストラゼネカのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)「タグリッソ」(一般名・オシメルチニブ)が、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」への適応拡大の承認を取得しました。同薬は、薬剤耐性を引き起こす「EGFR T790M変異」のある患者への二次治療を対象に16年5月に発売。適応拡大が承認されたことで、一次治療でも使えるようになりました。胃食道がん 市場は急拡大も生存期間の改善は小幅|DRG海外レポート【2019年に発売が見込まれる新薬1】国内初 CAR-T細胞療法が承認へ…抗がん剤エヌトレクチニブは臓器横断、…新薬の登場により着実に予後が向上している肺がん。残されたアンメットニーズを満たす薬剤の開発が進めば、薬物治療はさらに進化していくでしょう。昨年から今年にかけて、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに相次いで新薬が登場しています。昨年8月、アストラゼネカのEGFR阻害薬「タグリッソ」が一次治療への適応拡大の承認を取得。今年1月にはファイザーの同「ビジンプロ」が承認され、来月にも発売される見通しです。選択肢が広がる中、治療はどう変化するのでしょうか。【2020年3月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン(4)アストラゼネカ・ブリストル・バイエルエクソン20挿入変異をターゲットとした薬剤としては、米スペクトラム・ファーマシューティカルズが新規EGFR-TKIのpoziotinibを開発しており、現在、海外でP2試験が進行中。武田薬品工業はEGFR/HER2阻害薬「TAK-788」のP1試験を行っています。大鵬薬品工業も「TAS6417」を開発中で、海外ではスピンアウト先のカリナンパールが年内にP1試験を始める予定。タグリッソもエクソン20挿入変異のある患者を対象に臨床試験を行っています。タグリッソは急速に売り上げを伸ばしています。アストラゼネカによると、適応拡大が承認された18年7~9月の売上高は前年同期に比べ20%増加。同年9月にはEGFR-TKIでトップシェアに躍り出たといいます。18年の売上高(薬価ベース)は9月までで240億円を超えました。EGFR-TKIの新たな選択肢となるビジンプロですが、一次治療薬としてはタグリッソが先に承認を取得しており、使いどころが悩ましい薬剤となりそうです。診療ガイドラインでの推奨度はタグリッソより一段低く、第一選択薬としてのタグリッソの優位は揺らぎそうにありません。こうした中、今年1月には、国内5剤目のEGFR-TKIとなるファイザーの「ビジンプロ」(ダコミチニブ)が、一次治療の適応で承認を取得しました。2月の薬価収載を経て発売される見通しです。ただ、タグリッソを二次治療で使うには、EGFR T790Mの変異があることが条件となります。この変異が見られるのは、EGFR-TKIに抵抗性となった患者の半分ほど(第2世代EGFR-TKIの場合)。タグリッソを二次治療にとっておいたとしても、半分の患者は使えないことになり、中川氏も「新しい患者も(タグリッソを一次治療として選択する)自由は保たれたほうがいい」と言います。タグリッソはEGFR-TKIとしては唯一、二次治療で使うことが可能なので、ビジンプロを一次治療で使い、効かなくなったらタグリッソに切り替えるという治療戦略はありえます。ファイザーが開いたメディア向けカンファレンスで講演した近畿大医学部の中川和彦教授(腫瘍内科)は、ビジンプロの臨床的意義について「(ビジンプロ使用後に)T790M変異陽性になったらオシメルチニブを使う、ということもできるのではないか」と話します。もう1つは、2次治療、特にタグリッソに耐性となった患者に対する治療選択肢です。タグリッソのP3試験FLAURAでは、同薬が効かなくなった患者でMET増幅やEGFR C797S変異が高い頻度で確認されました。英アストラゼネカはこの結果を受け、タグリッソによる一次治療後に病勢進行した患者に対する治療選択肢を探るP2試験「ORCHARD」を始めています。EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異は、肺がんで多く見られるドライバー遺伝子の変異。日本人の場合、非小細胞肺がん患者の30~40%にEGFR遺伝子変異があり、腺がんに限るとその割合は5割を超えます。EGFRは細胞の増殖に関与するタンパク質。ここの遺伝子に変異があると、増殖のスイッチが入り続けた状態になり、がん細胞が際限なく増えてしまいます。選択肢が広がるEGFR-TKIですが、薬剤耐性という課題はまだ残されています。1つは、既存のEGFR-TKIがほとんど効かない「エクソン20挿入変異」。変異の頻度は低いものの、この変異がある患者ではEGFR-TKIの奏効率が10%弱にとどまるといいます。肺がん学会の診療ガイドラインでも、エクソン20挿入変異のある患者にはEGFR-TKIを使わないことを推奨しています。新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(7月17日UPDATE)AnswersNews - 製薬業界で話題のニュースがよくわかる 肺がんは性質や薬の効き方によって“小細胞肺がん”と“非小細胞肺がん”に分類されています。早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合(StageⅣ)や再発してしまった場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。 非小細胞肺がんの初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。 1.