パラリンピックの水泳女子日本代表で金メダルを取った選手にはどのような方がいるのでしょうか。歴代の金メダル獲得選手を調べてみました。また個人で複数のメダルを手にした成田真由美選手、秋山里奈選手のプロフィールもご紹介します。パラリンピック水泳女子の日本代表で金メダルを獲得した選手にはどのような方々がいるのでしょうか。歴代を振り返ってみましょう。一番最初に水泳女子の日本代表が金メダルを獲得したのは、女子50m自由形、女子100m自由形で成田真由美選手が金メダルを2つ、女子50m平泳ぎで2000年のシドニーパラリンピックでは、2004年のアテネでは、2012年のロンドンでは、こう見ると成田真由美選手の強さが目立ちますね。彼女はその強さから“水の女王”とまで呼ばれていました。一度引退されましたがそして、一番最近で金メダルを獲得した選手というと今回は成田選手と秋山選手、お二人の気になるプロフィールをご紹介します。 まずはパラリンピック水泳女子界で圧倒的な強さを誇り、“水の女王”とまで言われた、成田選手は子供の頃はスポーツ万能で活発な子でした。ただ水泳だけは大の苦手で、学校の水泳の授業は仮病を使っていたそうです。生活が一変してしまったのは中学生の時でした。横断性脊髄炎という病気を発症し、下半身麻痺となり車椅子生活を送るようになります。その後、心臓病や高血圧症なども発症し、20回以上も入退院を繰り返しました。それでも元々のスポーツ好きな性格から、身体障害者スポーツクラブに通ったりしてスポーツを楽しんでいたといいます。そして、成田選手が23歳の時に転機が訪れます。同じスポーツクラブの仲間に水泳大会のリレーメンバーが足りないからと誘われ、水泳を始めたのです。水泳は小さい時から始めたという選手が多い中で、成田選手は異色と言えるかもしれません。しかしその後、驚くべきスピードで上達していった成田選手。体が軽く感じる嬉しさや自分で游げる楽しさがあったからこそ続けられたといいます。始めての水泳大会からの帰りに車ごと事故に巻き込まれ、左手の麻痺など後遺症が残る不運にも見舞われましたが、彼女は「もう一度泳ぎたい」その一心でリハビリに耐えました。そして遂に1996年のアトランタパラリンピックに初出場、いきなり金メダルを2個、銀メダルを2個、銅メダルを1個獲得しました。そこから“水の女王”と呼ばれるまでになる成田選手の快進撃が始まりました。次の2000年シドニーでは金6個、銀1個を獲得、2004年アテネでは金7個、銅1個を獲得しました。2008年北京ではクラス分けの変更が行われ、以前よりも障害の軽いメンバーの中で苦戦しメダル獲得には至りませんでした。この北京を機に成田選手は一度引退されたものの、次の世代の選手が中々育っていない現状を見て、もう一度自分が泳ぐことでパラ水泳の注目度を上げ、若手の選手がどんどん生まれるきっかけにしたいと現役復帰を決意します。その言葉通り、2016年にジャパンパラ水泳競技大会に出場し日本新記録を出して、リオの代表に選ばれてパラリンピックの舞台へと戻ってきました。成田選手は当時46歳、年齢など関係ないことを見事に証明してくれた形ですね。50歳となる2020東京パラリンピックへの出場はあるのか、今から注目です!次に秋山選手は生まれた時から目が見えず全盲でした。けれども小さい頃から水遊びが好きだったこともあり、母親のすすめで3歳からスイミングスクールに通い始め、すぐに水泳に夢中になっていきます。そして小学5年生の時に、河合純一さんという全盲の水泳選手の本をテープで聞いたことがきっかけでパラリンピック出場を目指し始めました。その後2004年アテネパラリンピックに初出場し、100m背泳ぎの決勝では自己ベストを2秒以上更新し銀メダルを獲得しました。秋山選手は金メダルを取れなかったアテネでの悔しさを次の2008年北京で晴らそうとしますが、なんと北京では出場するはずだった背泳ぎのクラスが廃止されてしまいます。次に得意な平泳ぎのクラスも廃止、それでも自由形での出場が決まりましたが、結果は50m自由形では8位、100m自由形では予選落ちというものでした。“金メダルを取りたい”その思いが彼女を突き動かします。それから4年後の2012年、ロンドンパラリンピックでは秋山選手が出場出来る背泳ぎクラスが復活。秋山選手はこの舞台で8年越しのリベンジを果たし、念願の金メダルを獲得しました。その後はこのロンドンを最後に現役を引退され、現在は会社員として働かれています。パラリンピック水泳女子日本代表の金メダリストと、成田真由美選手、秋山里奈選手のプロフィールをご紹介しました。何があっても諦めず、最終的に金メダルを手にしたお二人の強さには尊敬の念しかありません。そして、そんな二人の後に続いて金メダルを手にする日本代表は、一体誰になるのでしょうか。まずは来年の東京パラリンピックを楽しみに待っていましょう。

競技の見どころや、競技特有のルール・クラス分けなどがわかる動画です。観戦計画を立てる時の参考に、観戦前の予習に、ぜひご覧ください。水泳のルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。水泳に詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!水泳は第1回パラリンピックローマ1960大会から行われている。競技はできるだけ条件を揃え公平に行えるよう、選手は障がいの種類や程度、運動機能などによりクラス分けされ、それぞれのクラスごとに競う。選手はそれぞれの障がいに応じて全身を駆使し、独自のスタイルで泳ぐ。その個性豊かなフォームは、「残されたものを最大限に活かす」というパラリンピックの精神を強く体現する。 ルールはオリンピックとほぼ同じだが、選手の障がいに合わせて、スタート方法など一部が変更されている。パラリンピックには適格な肢体障がい、視覚障がい、知的障がいがある選手が参加でき、14のクラスに分けられる。S5~S10, S11~S13, S14  SM=(3xS + SB)/4S1/SB1/SM1~S10/SB10/SM10は、肢体障がい。S11/SB11 /SM11~S13/SB13/SM13は、視覚障がい。数字が大きい程、障害の程度は軽くなる。水泳は、日常的に車いすを使う選手から、四肢切断や脳原性まひ、視覚障がいや知的障がいなど、多様な障がいを対象とする。選手は障がいクラス別に競技するが、たとえ同じクラスでも、それぞれの身体の状態は千差万別だ。そのため選手は試行錯誤の末、自分の身体に最も合う泳ぎ方を見つけ、練習をくり返すことで泳ぎを磨き上げていく。競技の勝敗は「誰よりも速く泳ぐこと」。そのために抵抗を少なく推進力を最大にし、まっすぐ最短コースでゴールを目指すのだが、障がいがあるとその「早く泳ぐ技術」が難しいのである。例えば下半身が麻痺しキックができない選手は、上半身の筋力や動きで補うことが必要だ。腕や脚に欠損や変形がある選手は、できるだけ姿勢を水の抵抗の少ない理想の形(ストリームライン)に近づけ、上下左右のバランスをとりながら泳げるよう身体の使い方を工夫する。視覚障がいクラスの選手の中には、自分の位置を目で確認することが難しい選手もいる。そのため、まっすぐ泳げずにタイムロスすることも少なくない。練習を繰り返し、バランスの良いフォームを身につけたり、左右どちらかのコースロープに身体を触れさせて位置を確認したりするなど、自分なりの方法を体得していく。個性あふれる泳ぎ方を見比べて、それぞれの工夫を知ることもできる。また、プールの壁を目で確認できない選手もいる。そのため、ターンやゴールのときに壁にぶつかってケガをしないよう安全のため、コーチなどがプールの上から選手に合図を送る。特にS11(全盲)クラスの選手には合図を送ることが義務付けられている。合図は選手の頭や身体に棒でタッチ(タッピング)して行う。合図を送る人を「タッパー」、合図を送る棒を「タッピングデバイス」と呼ぶ。選手はタッパーのおかげで、恐怖心を取り除き、思い切って泳ぐことができる。競技ルールはオリンピックの競泳にほぼ準ずるが、障がいに合わせて一部変更されている。特にスタート方法は多種多様だ。自由形や平泳ぎ、バタフライは飛び込み台からスタートすることが基本だが、障がいによって台からの飛び込みが難しい場合は水中からスタートすることもできる。水中スタートや背泳ぎはスタート台に設置されたスターティンググリップを握り水中からのスタートを基本とするが、握力の関係や切断などの障がいによりグリップを握ることが難しい場合は、ベルトなどの補助具を使用したり、ひもやタオルを口にくわえたりしてスタート体勢を取ることも認められている。ゴールも同様だ。両手タッチが原則の平泳ぎやバタフライであっても、障がいによっては上半身の一部でのゴールタッチが認められている。水泳は陸上競技に次いで出場選手の多い競技だ。選手の年齢の幅が広く、何大会にもわたって活躍したり、1大会で複数のメダルを手にしたりするスター選手も少なくない。例えばリオデジャネイロ2016大会で、地元の大声援も味方につけ、金メダル4つを含む合計9個のメダルを量産したダニエル・ディアス(ブラジル)の大活躍は記憶に新しい。生まれつき手や脚に欠損や変形があり、歩行のときに義足を使うディアスは、パラリンピック初出場の北京2008大会で9個のメダルを手にして以来、3大会連続で合計24個のメダルを獲得し、リオデジャネイロ2016大会終了時点では男子として史上最多のメダリストになった。女子では先天的に両脚に障がいがあることにより義足を使う、ジェシカ・ロング(アメリカ)がその1人。リオデジャネイロ2016大会で合計6個のメダルを獲得するなど、アテネ2004大会から4大会連続で金メダル13個を含む合計23個のメダルを手にしている。両選手とも東京2020大会でのさらなる飛躍が期待される。リオデジャネイロ2016大会では視覚障がいクラスでも歴史的な記録がいくつか誕生した。まず、男子S11の100m自由形でブラッドリー・スナイダー(アメリカ)が56秒15をマークし、30年ぶりに世界記録を塗り替えた。また、女子S13の50m自由形ではアンナ・ステツェンコ(ウクライナ)が27秒34で20年ぶりに世界記録を更新したのだ。競技レベルが向上していくとともに、今後ますます記録は更新され続けていくだろう。<日本>視覚障がいクラスの選手がスタート後やターンしてから浮き上がる際に方向を勘違いし、誤って他のレーンに侵入してしまった場合、その選手は失格となるか?あるいは、タッパーが口頭で元のレーンに戻るよう指示を与えてもよい。ただし、その選手の名前をはっきりと呼び、他選手に誤解を与えたりレースを妨害したりしないよう配慮しなければならない。妨害したと判断された場合は失格となる。(2020年3月24日現在)