åˆã—て考える必要があります。生物学的製剤の中には、癌の進行を抑制するといわれているものもあります。最後になりますが、生活上の注意で、何かできることはないでしょうか。そもそも、喫煙は、関節リウマチを発症させる主要なリスク要因と考えられています。それだけでなく、喫煙は治療効果を低め、間質性肺炎などの関節病変以外の関節リウマチの合併症の発症リスクを増やすとされています。報告の一例をお示ししましょう。肥満も、治療効果に影響しそうです。ここでは、生物学的製剤の治療効果とBMIの関係をお示しします。まだ異論もあるところですが、単純に重みで下半身の関節に負担がかかって壊れやすくなるだけでなく、脂肪組織から分泌される物質が炎症を悪化させると考えられています。バランスの良い食事で、良好な体型を維持するように心がけましょう。飲酒は、関節リウマチには直接の影響はなさそうです。少しはお酒を嗜んだほうがよいという報告すらあります。ただし、ビール換算で1日500ml以上の飲酒は、骨粗しょう症を悪化させるリスクになりますので、やはり、お酒は適量にとどめておかれたほうがよいでしょう。1階部分の炎症を抑えるのではなく、治療の2階部分である関節破壊の進行(骨の破壊)を直接抑える薬剤、プラリアが、間もなく関節リウマチの治療の承認を得るものとみられます。プラリアは、骨粗しょう症の薬としてすでに認可されている、半年に1回、皮下に注射する薬剤です。骨粗しょう症で骨を削っていく「破骨細胞」は、リウマチにおいても骨を壊す主要な要因ですので、これを抑えるプラリアは、関節破壊を抑制する効果があるのです。リウマチに使われる場合は、骨粗しょう症よりも短い間隔で使用されます。現在の関節リウマチの診療について、駆け足で述べてまいりました。実際の診療は、非常に複雑なもので、患者さん個々の状況を考えながら、きめ細かく行っていくものです。以上の講演を踏まえまして、この後の質問コーナーで、個別の状況について補っていこうと考えています。せっかく導入した生物学的製剤の効果が不十分な場合は、どのように対応するのでしょうか。このような場合は、①増量できる薬剤は、増量する②投与期間を短縮できる薬剤は、短縮する増量や期間短縮というのは、ずっとその投与方法を続けるのではなく、炎症が落ち着いてきたら、もとの投与方法にもどすことも、多くの場合は可能です。効果が十分にあったのだが、鈍くなってきてしまった:効果減弱この部分の話も、あくまで原則論で、現状では「やってみないとわからない」というのが正直なところです。それぞれの製剤の効果予測に関しては、精力的に研究が進められており、将来は、もっと自信をもってお話ができるときが来るはずです。掲載の内容について無断転載を禁じます。