Tweet. 2020/06/01 22:15. トップ > 不法行為 > 『JR東海 認知症電車事故訴訟 最高裁判決』をマンガで解説。 認知症患者の徘徊に家族は監督責任を負うの? 2016-02-28 『JR東海 認知症電車事故訴訟 最高裁判決』をマンガで解説。 認知症患者の徘徊に家族は監督責任を負うの? 不法行為. スポンサーリンク元看護師で現在はコミックエッセイ制作などを行っています♪国家資格関連では、行政書士を主人公にした「半熟行政書士!」(自由国民社)を出版。行政書士業務を紹介するマンガを「無敵の行政書士」(TAC出版)で描いたりしていました♪本ブログのマンガは私が担当していていますが、文章・構成は元行政書士の柴田崇裕(夫です)が担当しています。柴田崇裕へのお問い合わせ等は          引用をストックしました引用するにはまずログインしてください引用をストックできませんでした。再度お試しください限定公開記事のため引用できません。 スポンサーリンク平成28年3月1日 損害賠償請求事件 最高裁 第三小法廷*実際の事例の事実関係を大幅に簡略化し、結論に影響が無い範囲で事実関係を変更している箇所もあります。 ブログ版では一部閲覧制限がされていますが、判例マンガの完全版はこちらで見れます♪◆アプリ版   ◆note版    ◆Kindle版*iphone・PCご利用の場合は、「note版」をご利用ください。「note版」はキャリア決済もご利用頂けます。 パン蔵さんは重度の認知症を患っていたのですが、こういった人について民法713条では「精神上の重い障害があって、他人に損害を与えてもその責任を負わないよ」と定めています。  つまり、パン蔵さんが仮に生存していたとしても、パン蔵さん自身は賠償責任は負いません。ところが、これでは損害を受けた側は溜まりません。  そこで、民法714条には「精神上の重い障害がある人が責任を負わない場合は、その人を監督する義務がある人が損害を賠償するんだよ。」と規定されているのです。ハムちゃん鉄道はこの規定を根拠にして、妻のパン美さんと息子のパン吉さんに損害賠償をしたのです。  でも、民法714条には「監督する人が義務をちゃんと果たした場合や、義務を果たしても損害が出る場合はしょうがないよね」とも書かれているのです。  パン美さんは、徘徊防止用に設置していたブザーが頻繁になることから、ブザーを切ってしまっていたり、パン蔵さんが家から出ていける場所にいる状態でうたた寝をしちゃっていたという事実はあります。でも、介護を怠けていたという程ではない気もします。  息子のパン吉さんは離れて暮らしていましたが、介護の方針を立てていたり、実際の事例では息子の妻が、近くに引っ越してきて介護を手伝っていたという事情もあります。  地裁では、パン美さんだけではなく、息子のパン吉さんの責任を認めて損害賠償が命じられました。高裁では、息子のパン吉さんの責任は認められませんしたが、パン美さんに対して損賠賠償を命じる判決が出ました。  そして、最高裁ではパン美さんにもパン吉さんにも賠償責任は無いとしました。理由としては・家族がパン蔵さんを監督することが可能な状況ではなかった・パン美さんもパン吉さんも監督義務者で無かったというものです。 民法判例の事実関係から、結論まで全てがマンガで理解できる「マンガで民法判例がわかーる。1巻<総則・物権編>のKindle版が発売されました!「民法判例百選①(有斐閣)」に収録されている重要判例を中心に72判例、全447ページのボリュームでお届けします。Kindle版以外に、アプリ版・note版もありますので合わせてチェックしてみてくださいね。*Kindle版とnote版の収録内容は同じです。アプリ版にはプラスして今後も判例マンガが追加されていきます。   民法752条は,夫婦の同居,協力及び扶助の義務について規定しているが,これらは夫婦間において相互に相手方に対して負う義務であって,第三者との関係で夫婦の一方に何らかの作為義務を課するものではなく,しかも,同居の義務についてはその性質上履行を強制することができないものであり,協力の義務についてはそれ自体抽象的なものである。また,扶助の義務はこれを相手方の生活を自分自身の生活として保障する義務であると解したとしても,そのことから直ちに第三者との関係で相手方を監督する義務を基礎付けることはできない。そうすると,同条の規定をもって同法714条1項にいう責任無能力者を監督する義務を定めたものということはできず,他に夫婦の一方が相手方の法定の監督義務者であるとする実定法上の根拠は見当たらない。 ウ 第1審被告YはAの妻であるが(本件事故当時Aの保護者でもあった),以上説示したところによれば,第1審被告YがAを「監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできないというべきである。また,第1審被告YはAの長男であるが,Aを「監督する法定の義務を負う者」に当たるとする法令上の根拠はないというべきである。(2)ア  イこれを本件についてみると,Aは,平成12年頃に認知症のり患をうかがわせる症状を示し,平成14年にはアルツハイマー型認知症にり患していたと診断され,平成16年頃には見当識障害や記憶障害の症状を示し,平成19年2月には要介護状態区分のうち要介護4の認定を受けた者である(なお,本件事故に至るまでにAが1人で外出して数時間行方不明になったことがあるが,それは平成17年及び同18年に各1回の合計2回だけであった。)。第1審被告Yは,長年Aと同居していた妻であり,第1審被告Y,B及びCの了解を得てAの介護に当たっていたものの,本件事故当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護もBの補助を受けて行っていたというのである。そうすると,第1審被告Yは,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが現実的に可能な状況にあったということはできず,その監督義務を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Yは,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。 ウまた,第1審被告Yは,Aの長男であり,Aの介護に関する話合いに加わり,妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながら第1審被告YによるAの介護を補助していたものの,第1審被告Y自身は,横浜市に居住して東京都内で勤務していたもので,本件事故まで20年以上もAと同居しておらず,本件事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないというのである。そうすると,第1審被告Yは,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが可能な状況にあったということはできず,その監督を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Yも,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。 5以上によれば,第1審被告Yの民法714条に基づく損害賠償責任を肯定した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決のうち第1審被告Y敗訴部分は破棄を免れない。この点をいう第1審被告Yの論旨は理由がある。そして,以上説示したところによれば,第1審原告の第1審被告Yに対する民法714条に基づく損害賠償請求は理由がなく,同法709条に基づく損害賠償請求も理由がないことになるから,上記部分につき,第1審判決を取り消し,第1審原告の請求を棄却することとする。 *判決文の引用にあたり、一部(括弧書きなど)を省略している箇所があります。また重要個所を赤字・太字としています。 第713条精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。 第714条1.前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。2.監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。 スポンサーリンク. スポンサーリンク 民法をわかりやすく解説する動画も公開しています。民法判例をマンガでわかりやすく学ぶだけじゃなくて、動画で民法自体の知識も深めていってみてくださいね。 民法をわかりやすく解説する動画も公開しています。民法判例をマンガでわかりやすく学ぶだけじゃなくて、動画で民法自体の知識も深めていってみてくださいね。 ブログでは判例マンガに非公開部分が設定されている部分もありますが、下記のアプリ等では判例マンガを全てチェックできます。全記事を非公開部分無しで見たい場合は、ぜひどうぞ☆<androidアプリ版>androidアプリ版は<note版(iphoneユーザーにおすすめ)>iphoneユーザーはnote版をどうぞ!<Kindle版> 両親は二人暮らしでしたが、私の妻が単身で近所に移り住んで介護を助け、私も殆どの週末、横浜から愛知に帰りサポートしていました。 父はデイサービスから帰宅した夕方、一緒にいた母(当時85)が6~7分まどろんだ間に、道路に面した扉から出て行ったようです。その扉から出て行ってしまうのは初めてのことでした。家の別の玄関扉は父が近づくとチャイムが鳴るようになっていて、母は夜な夜なチャイムに起こされる生活を送っていたのです。目を離した母を責めることはできません。 現場の… 認知症高齢者による鉄道事故における家族の監督責任 ― JR東海事件の最高裁判所判決の評価と課題 ― The responsibility of family in the railroad accident of the cognitive impairment 松倉 聡史 名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科 教授 【要約】 本件は、平成19 年12 月7 日に愛知県の東海道本線で認知症高齢 …

MIN-IRENトピックス2018年7月31日 事故から半年後の2008年5月、突然約720万円の損害賠償請求書がJR東海から届きました。信じられないことですが、私はJR東海の担当者と1度もお会いしたことがありません。突然、内容証明郵便が送られてきたり、不動産を仮差押えされたり、巨大企業の機械的で横暴な態度に翻弄され続けた8年間でした。 両親は二人暮らしでしたが、私の妻が単身で近所に移り住んで介護を助け、私も殆どの週末、横浜から愛知に帰りサポートしていました。現在は施錠されているJR共和駅のフェンス扉 一審はJR東海の主張を全面的に認めるものでした。裁判で争いになった民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)は、明治時代の大家族制度を前提に「家族共同体の成員の不始末は家の代表者が無限定に責任を負う」という規定で、これを覆す判例は殆どなかったのです。自分の主張は間違っているのかと、和解せず判決に持ち込んだことを後悔しそうになりました。本当に孤独な闘いでした。 裁判では父の「徘徊」が焦点になりました。「徘徊」という言葉には、何を考えているのか分からない人が、無目的に歩き回るというニュアンスがあります。しかし、父は生まれ育った家やかつての職場など、必ず目的を持って歩いていました。「徘徊」という言葉は極力使わないでほしい。私は困っている方を見かけたら、優しく静かにお声がけしようと思います。認知症の方が尊厳を持って安心して暮らせるように、地域で支え合っていけたらと願っています。いつでも元気 2018.8 No.322近くの病院・診療所検索近くの病院を探したい方、住所を入力してくださいお役立コンテンツ〒113-8465