Institute for New Economic Thinking, April, 21, 2020また、日本での新型コロナ感染症の感染拡大による外国人に対する態度や意識の変化を調べた研究(※10、プレプリント)によれば、外国人と接する機会が多い人ほど、感染を外国人のせいと考える割合が少なかったという。ある調査(※11)によれば、日本人には「感染するのは自己責任」と考える人が多いようだが、完全に社会と隔絶した生活を送らない限り、感染リスクはゼロではない。不謹慎叩き、自粛警察、他者罰の快感、正義中毒、いろいろ心理的な背景があるのかもしれないが、感染症のパンデミックという異常事態では、寛大、寛容、包容力、相互理解こそが大切と思いたい。※4:Sunasir Dutta, Hayagreeva Rao, "Infectious diseases, contamination rumors, and ethnic violence: Regimental mutinies in the Bengal Native Army in 1857 India." PLOS ONE, doi.org/10.1371/journal.pmed.1000316, 2010※1-1:Lawrence A. Palinkas, et al., "Incidence of psychiatric disorders after extended residence in Antarctica." Environmental, Aviation and Space Physiology, doi.org/10.3389/fphys.2019.00442, 201910.31234/osf.io/x5emj, May, 5, 2020※7:Jay J. Academy of Management Journal, Vol.61, No.1, 5-25, 2018中世のペストで醸成されたユダヤ人に対する差別意識は、世代を超えて20世紀まで引き継がれ、ナチス・ドイツによるホロコーストの悲劇を生んだのではないかという研究もある(※5)。新型コロナ感染症の流行とよく比較されるスペイン風邪(1918~1920)は世界中に感染拡大したが、人々の他者に対して心理的な信頼感が低下した記憶は長く残ったという(※6)。こうした閉塞状態に長くいると、健康などへの悪影響など様々な弊害が起きてくる(※1)。自粛などによる社会的な結びつき(ソーシャル・キャピタル)の変化が健康に与える影響のメカニズムはまだよくわかっていない。ストレスや情動反応、愛情、友情、交友などによって脳内のホルモンとそれによる代謝系、免疫系になんらかの影響が出るためではないかと考えられている(※2)。感染症のパンデミックは、社会の不安をあおって対立を生みだし、社会やコミュニティの結合力を弱めることがある。いわゆる「自粛警察」のように相互に監視し合い、抜け駆けに敏感で相互の信頼感が失われてしまう。この調査によれば、日常的に外国人と接する頻度が高い人ほど排他的な態度が弱くなっている。これを患者さんや感染者、その家族、医療関係者などへの中傷や暴言行動に当てはめて考えてみれば、日常的にこうした患者さんや医療関係者に接する機会がない人が差別したり風評を流すのかもしれない。※2-2:Camelia E. Hostinar, et al., "Psychobiological Mechanisms Underlying the Social Buffering of the HPA Axis: A Review of Animal Models and Human Studies across Development." Acta Astronautics, Vol.64, Issue7-8, 659-677, 2009※9:Adam Brzezinski, et al., "The COVID-19 Pandemic: Government vs. Community Action Across the United States." Hormones and Behavior, Vol.61(3), 400-409, 2012※11:神戸新聞、「中傷につながる?「感染は自業自得」と思う割合、欧米に比べ日本突出」、2020年5月17日自宅に閉じこもっていたことで、家族と接する時間が増えたが、逆に家族以外の社会的交友関係が減った。刺激の少ない毎日にイライラが募り、外出できない不満が少しずつ蓄積したという経験を持つ人は多いはずだ。これは日本在住の18歳以上の日本人1004人を対象にし、1月下旬、2月中旬、3月上旬というWHOによるパンデミック宣言の前40日間に実施された調査で、新型コロナ感染症の感染拡大が広がるに従って予防行動をとる傾向が増え、同時に外国人に対して排他的な態度が強くなった。そして、外国人では特に中国人に対し、強く排除する態度がみえたという。スペイン風邪の失敗は、多くの人が感染リスクをよく理解していなかったことが感染拡大につながり、感染しないさせないためのソーシャル・ディスタンシングに対して抵抗感があったこととされている。そして、気付かぬうちに自分自身の感染リスクを高めたり、他人を感染させたりする行動をとってしまった(※7)。※1-2:Sheldon Cohen, "Social Relationships and Health." International Journal of Circumpolar Health, Vol.63, Issue2, 2004この調査の結果は、各国政府によるCOVID-19感染防御政策や対策の違い、そして政府行政からの国民へのアナウンスやアプローチの方法が回答に影響しているのかもしれない。あるいは、各国の国民のリテラシーの差があらわれている可能性もある。いしだまさひこ:医科学修士(MMSc)。近代映画社で出版の基礎を学び、独立後はネットメディア編集長、紙媒体の商業誌編集長などを経験。ライターとして自然科学から社会科学まで多様な著述活動を行う。横浜市立大学大学院医学研究科博士課程在学中。JASTJ会員。元喫煙者。サイエンス系の著書に『恐竜大接近』(集英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポプラ社)など、人文系著書に『季節の実用語』(アカシック)、『おんな城主 井伊直虎』(アスペクト)など、出版プロデュースに『新型タバコの本当のリスク』(著者:田淵貴大)などがある。※2-1:Caroline F. Zink, et al., "Human Neuroimaging of Oxytocin and Vasopressin in Social Cognition."
ワイ(35)、コロナのせいで会社クビになる 引用元: 名無しキャット 2020/04/14(火) 07:23:14.13 ID:zFvpL2GGM どうすればええんやこれから 155: 名無しキャット 2020 新型コロナ感染症は、外出や営業の自粛、テレワークやソーシャル・ディスタンシングの推奨といった「新しい生活様式」で人々の感情や心理に� だからといって、「自己責任」とはどのようなことを指すのか、自由とは何かといった哲学論争をしても始まらない。 しかし、こうした人たちが American Psychologist, 59(8), 676-684, 2004※1-6:草野つぎ、藤田京子、「東日本大震災の広域・複合災害による福島県民の健康問題に関する文献検討─2011年4月~2015年3月までに発表された論文に焦点を当てて─」、日本地域看護学会誌、第20巻、第3号、2017今回の新型コロナ感染症のパンデミックは、今後の社会へどう影響するのだろうか。※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。※1-10:Lisa F. Berkman et al., "From social integration to health: Durkheim in the new millennium." Human Physiology, Vol.38, 677-682, 2012中世ヨーロッパでペストが流行した時にはユダヤ人の排撃があり、コレラの流行では英国の植民地だったインドで軍による反英反乱が起き、18世紀の米国フィラデルフィアで黄熱病が流行った時には役者やアーティストが追放され、19世紀の米国ニューヨークでコレラが蔓延した時には移民や売春婦らが忌み嫌われた(※4)。3月27日から4月15日に世界12カ国の18歳以上の人を対象にしたオンライン調査(※8)によれば、政府が真剣に対応していないと回答した日本人は76%、政府が新型コロナ感染症に対していい仕事をしていると回答した日本人は10%しかいなかった。自国政府の対応に自信を持っていたり他国よりましという回答も日本人はダントツで低い。一方で、パンデミックを心配している人は日本人が最も多く(60%)、ソーシャル・ディスタンシングを実行している割合は日本人がダントツで少なかった。※1-11:Julianne Holt-Lunstad, et al., "Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review." Van Bavel, et al., "Using social and behavioural science to support COVID-19 pandemic response." Aviation, Space, and Environmental Medicine, Vol.84, No.10, 2013※10:Mei Yamagata, et al., "The Relationship between Infection-Avoidance Tendencies and Exclusionary Attitudes toward Foreigners: A Panel Study of the COVID-19 Outbreak in Japan: COVID-19 and Exclusionary Attitudes."