関連キーワードPR情報 呼吸や歩行が困難になるといった症状が出る、ALS筋萎縮性側索硬化症という病気があります。このALSは、現在は進行を止める治療がない難病です。そのALSについて最近、ある薬を使うと、進行を抑えられる可能性があることが発表されました。

alsの女性遺体から鎮静薬を検出 市販されず、胃ろう経由で投与か 2020年7月25日 11時03分 (共同通信) 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS 文字の大きさデバイスモード東京新聞からリンクサイトのご利用についてCopyright © The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.

この薬はこれまでパーキンソン病の治療薬として利用されておりましたが、約 70%の孤発性als患者さん由来ips細胞にも効果が示されました。本治験では、実際のals患者さんでその安全性と有効性を評価して … 呼吸や歩行が困難になるといった症状が出る、ALS筋萎縮性側索硬化症という病気があります。このALSは、現在は進行を止める治療がない難病です。そのALSについて最近、ある薬を使うと、進行を抑えられる可能性があることが発表されました。そこで、12月24日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、治療に光が見えてきたALSという病気の症状、その最新治療についてお話しました。ALS=筋萎縮性側索硬化症は、手、足、のど、舌の筋肉や、呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく進行性の病気です。ただ、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、運動を司る神経だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなって、手や足、呼吸に必要な筋肉の力が弱くなり、筋肉がやせていく、というものです。著名な方にも多くいて、例えば亡くなられたイギリスの理論物理学者、スティーブン・ホーキング博士もALSでした。神経の老化と関連があるのではないかと言われていたり、神経伝達物質の代謝に異常があるという学説があったりしますが、結論が出ておらず、原因は不明です。一方、遺伝についてですが、多くの場合は遺伝しません。ただ、全体のなかのおよそ5%は家族内で発症することが分かっていて、家族性ALSと呼ばれています。この場合は両親のいずれかあるいはその兄弟、祖父母などにALSの患者さんがいることがほとんどです。この原因不明の難病ALSになる割合ですが、1年間で新たにこの病気にかかる人は人口10万人当たりおよそ1人から2・5人です。日本国内では、およそ9000人と言われています。男女比でいうと、男性の方が少し多くて、女性に対して1・2倍から1・3倍と言われています。また、年齢でいうと、中年以降はいずれの年齢の人でもかかることがありますが、最もかかりやすい年齢層は60代から70代です。まれにもっと若い世代での発症もあります。ALSの患者さんのうち、およそ4分の3の人が手足の動きに異常を感じて病院を訪れます。最初は、箸が持ちにくい、重いものを持てない、手や足が上がらない、走りにくい、疲れやすい、など動きに異常を感じます。また、手足の腫れ、筋肉のピクツキ、筋肉の痛みやつっぱりなどの自覚症状を感じます。これらはALSに特徴的な症状の一つで、手足の麻痺による運動障害の初期の症状です。まずはこのような症状がみられるとともに、手や足の筋肉がやせ細ってきます。その筋肉への影響はやがて呼吸の筋肉を含めて全身の筋肉がやせ、力がはいらなくなることで、歩けなくなります。のどの筋肉の力が入らなくなると声が出しにくくなるばかりか、水や食べ物ののみこみもできなくなります。またよだれや痰が増えますし、呼吸筋が弱まると呼吸も不十分になります。だから、箸が持ちにくい、重いものを持てない、手や足が上がらない、などの症状が出たり、顔や手足の筋肉の表面が小さく痙攣するといった自覚症状がある場合には、1日でも早く神経内科を受診してください。こうした中で今回、ALSの治療効果が期待できる薬が見つかったんです。その薬は、すでにパーキンソン病の薬として販売されているもので、「ロピニロール塩酸塩」というものです。この薬がALSに効果があるかもしれない、ということを発見したのは慶應大学の岡野栄之教授研究チームです。岡野さんの研究チームでは、いきなり患者さんに投与するわけにはいかないので、iPS細胞を使って、薬の効果を実験したそうです。どういう実験化というと、ALS患者さん1人のiPS細胞を作り、そのiPS細胞を神経細胞に育ててALSの病気の状態を再現しました。そしておよそ1230種類の薬を試したところ、パーキンソン病の薬「ロピニロール塩酸塩」に神経細胞が死ににくくなる効果があったということなんです。そこで、この薬に効果があるのかどうか、別のALSの患者さん22人でも同じようにiPS細胞の実験を行ったところ、およそ7割に当たる16人で効果が確認できました。研究チームによると、細胞段階では、既存のALS治療薬の2倍から3倍の効果があったということなんです。残念ながら、これから臨床実験なので、治療の実用化は数年後ということですが、1回の治療で長期間、症状改善や病気の進行を抑えられる可能性があるということです。現在、ALSの対処療法としては、例えば筋肉や関節の痛みに対して、リハビリテーションが行われます。体の自由が効かないことや、病気に対する不安等から起こる不眠には睡眠薬や安定剤が使われる。呼吸困難に対しては、鼻マスクによる呼吸の補助と、気管切開による呼吸の補助があります。のみ込みにくさがある場合には、柔らかく水気の多いものにするなど食べ物を変えたりします。こうした対処療法については、開発が少しずつ進んでいるものの、いまだにALSの進行を停止させる薬はありません。また、ALSの治療薬について多くの臨床試験が実施されていますが、いまだALSの進行を停止させる薬剤は見出されていません。そのような中、iPS細胞を使って効果のある薬を発見できたのは大きな前進です。iPS細胞を使うと患者さん本人の細胞で薬の効果が試せるので効果が判別しやすいのです。iPS細胞は拒絶反応のない臓器を作れるという考えが強いですが、京都大学のiPS細胞研究所の山中伸弥所長は「iPS細胞で作った細胞で薬剤の効果や毒性を評価できる」という点に強い希望を持っています。今回の研究はまさにそれです。1日も早く臨床試験が成功することを望みます。解説:医学ジャーナリスト松井宏夫 radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)