社会人ともなれば、利用する機会が多くなるのがビジネスメールです。近年はモバイル機器が発達したことで時間や場所を選ばずメールを送ることができるようになり、社内外で積極的に活用する人も多いでしょう。しかし、ビジネスメールは便利なツールである一方、大きなリスクが潜んでいます。便利だからこそ、ついついマナーを忘れて使ってしまうと、相手に対して失礼なメールになってしまう恐れがあるのです。ビジネスメールのマナーをしっかりと学んで、日々の仕事に活かせるようにしておきましょう。仕事のメールのやりとりで不快に感じたことがある人は少なくありません。「相手の何気ない書き方が、大変失礼に感じられた」「普通に返答をしたつもりが先方からあらぬ誤解を受け、怒りを静めるのに苦労した」などのエピソードをよく聞きます。つい命令口調ぽくなってしまう、返信をなかなかしない、親密さをアピールしようとして本題になかなか入らないなど、ビジネスメールに関するマナー違反というのはいくつもあるのです。なぜビジネスシーンではメールを頻繁に使うのでしょうか。冒頭で時間や場所を選ばずに連絡できると言いましたが、それなら電話もそうですよね。文章で細かく伝えることができるなど、メールならではの利点はありますが、急ぎの場合や重要な用件であれば、メールを送るより電話で連絡したほうがスムーズといえるでしょう。また、文面だけで伝えにくいことがあれば、メールを送ったあとに電話で話しながらメールを見てもらう、という方法もあります。つまりメールはビジネスツールとして優秀な手段ですが、それだけで使うのではなく、状況に応じてほかの手段もあわせて使うことが重要なのです。今回はビジネス上のコミュニケーションツールのひとつ、メールを最大限活用するコツをご紹介します。ビジネスメールならではの効率化を図るテクニックを知っておきましょう。まず、確かめたいのがメールを見る頻度。とある調査では、社会人の4割超が1日あたり10回以上ビジネスメールをチェックするという結果が出ています。しかし、何度も見るのは非効率的です。1日の始業時と終業時、休憩の前後など、必ずメールをチェックするタイミングを決め、回数も1日4回までと決めるなど、自分の集中力を保てるチェックの仕方を考えましょう。またビジネスメールでは、どんな相手に対してもよく使う言葉があります。挨拶、用件に応じたお礼、お詫び、結びの言葉に至るまで、よく使う言葉を含めた文は定型文にしておくと、メールを作るのが楽になります。また、相手からのメールに返信するときは引用を用いましょう。相手の文章をコピーして、冒頭に「<<」などの記号をつけ、それに対して回答すると、相手もメールを理解しやすくなります。ただすべてコピーしてしまうと、文章が長くなり過ぎて逆効果です。ビジネスメールを使いこなすうえで最も大事なポイントの1つが、返信するスピードです。メールは環境が整っていれば、いつでも送受信できる便利なツールですが、そうした利便性があるがゆえに、いつまでも返信をしないとメールを送った相手が不審に思うことがあります。そうならないよう、相手からのメールを確認したらなるべく早く返信し、メールが届いていることを相手に伝えようとする心がけが大事になるでしょう。それと、メール作成する時には社内外での使いわけも必須です。社内の同じ課に属する人から「【要出欠返信】明日終業後19時からの懇親会について」というメールを受け取ったなら、件名 Re:【要出欠返信】明日終業後19時からの懇親会について出席します。山田と簡潔に書いて提出すればいいのです。あるいは、件名のところに一文書くだけでもいいです。大事なのは迅速に返答することと、相手に返信している人が誰で、何を伝えたいのかがわかるということです。一方、社外の人に対しては、たとえはっきりと返答できない場合でも、ここまで簡潔な内容のメールを送るわけにはいきません。もし相手から何かしらの質問のメールを受けとり、その段階でははっきりと答えることができない場合でも件名 Re:先日の新商品について凸凹商事 佐藤さまお世話になっております。○○食品の山田です。ご質問の件ですが、担当者に確認のうえ、詳細がわかりしだい再度連絡いたします。ご了承いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。というように、まずは一度返信をしておきます。また、こちらから再度連絡をするなら、連絡する時間も伝えておくとなお良いでしょう。ビジネス上ではさまざまな人とお付き合いがあり、時に周囲のお世話になることもあります。そういう時は、社内外を問わずきちんと感謝の気持ちをメールで伝えることが重要です。お礼のメールのポイントは、第一に早く送ること。当日中か翌日くらいを目途に、自分の気持ちを伝えておきましょう。また、回りくどい表現よりも、ストレートに感謝の気持ちを述べるのがいいでしょう。もちろん、社内向けと社外向けでは書き方が違ってきます。たとえば社内で他部署の人から資料を借り、そのお礼を述べる場合は件名 本日はお世話になりました営業課 高橋さまお疲れ様です。先ほどお借りした資料、ありがとうございました。大変役立っています。明日には返却いたしますので、よろしくお願いいたします。宣伝課 山田とある程度簡潔に述べます。お礼とともに、返却の日時も伝えることができれば問題ないでしょう。一方、社外の人にお礼を述べたい場合は、件名 先日はお世話になりました凸凹商事 佐藤さまお世話になっております。○○食品の山田です。先日の会合では大変お世話になりました。また、その後の会食に関しても、ご多忙中にもかかわらず時間を割いていただき、大変感謝しております。ご提案いただいた案件につきましては、上司と相談のうえ返答させていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。○○会社 宣伝部 山田 このように、なるべく丁寧に返答しましょう。ただ、表現の仕方が大げさになりすぎると、かえって空々しくなります。一方で、これからの付き合いを考え、「今後もよろしくお願いします」というアピールをプラスするのはいいでしょう。社会人として働いていればミスはつきもの。大事なのはすぐにお詫びをすることです。簡単に頭を下げるべきではないという考えもありますが、少なくとも自分に落ち度があるのなら、早めに謝罪し、誠意を見せることが肝心です。また、お詫びをメールで行うというのは間違いではありませんが、相手や状況次第ではきちんと電話をすることや、直接出向いてお詫びに行くことも必要になります。件名 遅刻についてのお詫び営業部各位お疲れ様です。山田です。取り急ぎ、ご報告します。本日、電車事故による遅延により、出社するのが遅くなります。10時からの会議にも遅刻することになりそうです。出社できる時間が判明次第、再度連絡します。皆様にはご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございません。社内に対するお詫びに関しては、社外向けのメールより簡素にしつつも、お詫びの意志は明確に示しましょう。また、なぜそのようなことになったのか、原因も明示することで理解を得られやすくなります。今後の対応策や改善点があれば、そこも明記しておきましょう。社外に対するお詫びは、件名 弊社社員の非礼に関するお詫び凸凹商事 営業部 佐藤さまお世話になっております。○○食品、営業部の山田一郎です。平素より、弊社をお引き立ていただき、誠にありがとうございます。また、このたびは弊社社員の加藤が失礼な態度で接しましたこと、誠に申し訳ございません。本人には厳しく注意し、加藤も二度とこのようなことをしないよう、深く反省をしております。どうかお許しいただけますよう、お願い申し上げます。後日、改めてご挨拶に伺わせていただきますが、取り急ぎ、メールにてお詫び申し上げます。社外の人に対してお詫びを行う場合、詫びるのが本人だけでいいとは限りません。社全体の問題としてとらえ、上司が率先して詫びる姿勢を見せることも大事でしょう。また、きちんとした形で詫びるというのであれば、メールだけではいけません。最初のお詫びとしてメールを使うのは結構ですが、後日改めて先方へ出向き、直接お会いしたうえでお詫びしましょう。社の内外を問わず、迅速に依頼をするにはメールが便利な手段なので、活用しない手はありません。ただ、メールは文章だけで依頼するので、表現1つ間違えるととても高圧的になってしまいます。依頼する際は、要点を押さえつつ失礼のない表記を心がけましょう。件名 社内アンケートの依頼 社員各位へお疲れ様です。総務部の山田です。かねてより依頼があった社内食堂のメニュー改善について、社員全体の意見を伺いたいとお思います。つきましては添付しているアンケート表に記入のうえ、9月1日までにメールにてご返信ください。質問についてもメールで受け付けています。皆様の貴重なご意見をお待ちしております。社内向けのメールとなると、ある程度は簡単にまとめてもいいでしょう。ただ、依頼の詳細や相手にしてほしいこと、守ってほしい期日や疑問に思われる点の解決法など、相手側に立って要点をまとめることは大事です。件名:御見積書送付のお願い△△株式会社ご担当 山本さまお世話になっております。○○食品 営業部の山田です。先日ご提案いただいた案件について、社内で検討した結果、さらに具体的な検討をしたいという結論に至りました。つきましては、本案件について費用のお見積もりをいただきたく、お願い申し上げます。勝手を申し上げて恐縮ですが、来週末の9月1日までにお送りください。ご多忙中恐れ入りますが、よろしくお願い申し上げます。他社へ依頼する場合、丁寧な言葉遣いはもちろんですが、相手に正確な依頼内容や条件を伝えなければなりません。期日はもちろんのこと、こちらから品物を注文するなら品名や数量などを具体的に明記し、相手が迅速に回答できるようなメールを送りましょう。ビジネスメールを用いた質問や相手への回答は、相手へ失礼のないような言葉遣いが重要です。ほかにも、質問をする場合は期日を明記しつつも急かさないこと、回答をする場合はなるべく早めに行うことも必須でしょう。ただ、回答をする場合は自分の仕事が優先で後回しになることも考えられます。その場合も「詳細は後程回答させていただきます」というメールを入れておきましょう。件名 顧客からの質問です宣伝部 斉藤さまお疲れ様です。営業部の山田です。営業先の書店担当者の方から、本日発売の雑誌に掲載されている広告について問い合わせがありました。添付している質問リストに回答し、本日中に返信いただけますでしょうか社内向けの質問メールでは、挨拶などをある程度簡単にして構いません。ただ、質問の内容は具体的に書くか、長いようであれば別のファイルにまとめるなどの工夫が必要でしょう。また、急ぎであれば、メールだけで済ませず、直接会うか内線で連絡しておくのも大事です。件名 Re:部品の納入方法について凸凹商事 川上様お世話になっております。□□株式会社の山田です。ご質問いただいた部品の納入方法ですが、部品1は100セット、部品2は200セットを、一括で9月1日に○○工場までお送りくださるようお願いします。工場の担当者にもそのように知らせてあります。ほか、不明な点があればご連絡ください。お手数をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。社外から質問を受けた場合は、なるべく早めに返すことと、質問の内容にしっかりと答えることがポイントです。とくに、納期など時間的な都合が関係する質問であれば、早めの回答が望ましいでしょう。定期的な異動や転職などで、初めての人と会う機会がありますよね。また、社外の人と頻繁に会うような仕事をしていると、どうしても初対面の方と接することが増えます。そのような際、直接会うときのマナーも大事ですが、メールを使った挨拶もきちんとできないといけません。件名 お世話になります山上部長このたび、人事異動により本社営業部所属を命ぜられました山田です。東京での仕事や生活は初めてのため、何かと不慣れなこともありますが、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。社内向けの挨拶とは言え、初めての方が多い段階では丁寧な印象を受け付けられるよう気を付けましょう。初めての任地や部署で不慣れなことがあれば、そこを正直に書くことで「ご指導お願いします」という結びにつなげやすくなります。件名 担当者変更のお知らせ凸凹商事営業部 本田さまお世話になっております。○○食品 営業部の山田です。貴社を担当させていただいておりました佐々木が来月9月1日付で大阪支社に異動となるため、新任として島田が担当させていただくことになります。何かと至らぬ点も多いと存じますが、前任者同様、お引き立ていただけますよう、お願い申し上げます。後日、島田とともにご挨拶に伺いますが、取り急ぎの報告をメールにて失礼させていただきます。社外向けの挨拶の場合、メールで伝えたい要点とともに、日ごろの感謝を伝えます。もちろん、重要な案件であればメールだけで済ませず、直接伺うことも必要です。一方で、担当の変更が行われるという場合、異動や退社の理由などを細かく述べることはせず、記載は要点だけにとどめましょう。会議や入稿などの締切、果ては親睦を目的とした会食など、日程を調整すべきことはたくさんあります。そのようなメールで大事なのは、集まる目的や日時を明確に示すことと、返信の期限を設定しておくこと。ただ、催促が度を過ぎないよう、表現には気をつけましょう。件名 臨時の課内会議の日程調整営業部各位お疲れ様です。山田です。部長級会議が来週末に行われるため、今週中に臨時の課内会議を行い、部長に報告することとします。下記日程のうち、どちらがご都合宜しいでしょうか?・○月○日(○)○時~○時また、会議室を押さえる都合上、明後日の終業までに返信をいただけますようお願いします。社内での日程調整の場合、誰もが目的を知っていれば詳しく書く必要はありません。ただ、それでも重要な案件であれば、確実に記載しておくことは大事です。また、急ぎで返信をもらいたい場合は、理由を明記しておくと説得力があるでしょう。件名 雑誌○○次号のスケジュールですデザイナー 木村さまお世話になっております。○×出版編集部の山田です。次号の入稿スケジュールは以下のようになります。入稿日 9月1日最終校了日 9月8日つきましては、明日か明後日にそちらへ伺いますので、打ち合わせをさせて頂きたいのですがよろしいでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、ご都合宜しいお時間をご教示頂けますと幸いです。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。社外向けの日程調整の場合も、基本的には社内向けと同様に日程の詳細や目的などを明示することが重要となります。ただ、相手に伝わっていない可能性や、より詳細なことを口頭で伝えたほうがいいことも考え、電話連絡を入れるといいでしょう。社内外を問わず周囲に報告をしたいとき、ビジネスメールはすぐに発信できるので便利です。重要な点としては、伝えたい結論を先に述べ、それから状況を伝えておくことが挙げられます。箇条書きでシンプルにまとめるのもいいのですが、重要性や緊急性を自分で認識し、相手にしっかりと伝えられるかがカギでしょう。件名 クレーム報告書販売部 篠崎さまお疲れ様です。営業部の山田です。本日(9月1日午前10時)に営業先の○△店橋本店長から本日朝に納入された○○を10箱注文していたにも関わらず1箱足りないとクレームを受けました。確認のうえ、不足分の発送をお願いできますでしょうか。○△店橋本店長の連絡先は以下になります。○△店 00-0000-0000橋本店長 090-0000-0000社内向けのメールで報告をしたあと、相手に作業を依頼する場合は、具体的な方法や必要な連絡先などを明記しておきましょう。社内で情報を共有しないといけない場合、上司への報告も必須です。件名 定期メンテナンス終了のお知らせ○□株式会社 総務部 鈴木さま平素は大変お世話になっております。○○システムウェアの山田です。さて、ご依頼を受けていた定期メンテナンスが終了しましたので、下記の通り、報告させていただきます。作業日時 9月1日(日)14:00~16:00場所 御社ビル1階総務部作業内容 総務部備え付けのFAXのメンテナンス検証状況 いずれも問題ありません。なお、作業は総務部ご担当の山岡さまの検分の元に行いました。ご不明な点や不具合があれば、弊社サポート部(00-0000-0000)までお知らせください。社外への報告メールの場合、何を行い、どのような結果になったのか詳細に伝えましょう。万が一を考え、自分の連絡先を入れておくことは相手の安心感につながります。ビジネスメールにおいて、結びの言葉は非常に重要。きちんとした内容のメールであっても、締めの言葉がしっかりしていなかったために印象が悪くなってしまうことも。また、目的別に表現を変えることも重要です。・一般的な結びの言葉「よろしくお願いいたします」「今後ともお引き立てくださいますようお願い申し上げます」・連絡を待つ場合の結びの言葉「ご連絡お待ちしています」「早急にご対応いただけますようお願いします」・検討をお願いする場合の結びの言葉「ご検討くださいますようお願い申し上げます」・取り急ぎメールを送った場合の結びの言葉「まずはお礼まで」「取り急ぎお知らせいたします」・詫びや断りを入れる場合の結びの言葉「お詫び申し上げます」「ご期待に沿えず、申し訳ありませんでした」社内向けのメールの場合、こうした結びの言葉を簡潔にすることもあります。ただ、自分から相手へ仕事を依頼する場合や、返信を希望する際は、敬語を正しく使い、きちんとお願いする締めの言葉にしましょう。一方、社外向けのメールはどんな場合であれ、きちんとした表現で締めることが肝要です。どんなビジネスメールを送る場合でも、確実に行ってほしいのが送信前の確認。誤字や脱字のチェックはもちろん、相手に対して失礼はないか、客観的に見ておかしいところはないかなど、宛先の読み手の視点から読み直してみましょう。また、本文だけ確認すればいいものではありません。意外に、件名や宛名が抜けているなど、初歩的なミスをしていることがあります。添付するファイルがあれば、その添付の有無やファイルがきちんと開くかどうかも確かめるといいでしょう。ビジネスメールを何度も送っていると、似たようなフレーズを使うものです。しかし、何気なく使っていたフレーズが実は大変失礼なものかもしれません。正しい使い方ができているか確認し、普段から失礼のないメールを送れるよう努力しましょう。どちらも理解するという意味ですが、「了解」は敬語としての表現が含まれないので、使うなら「了解いたしました」としましょう。一方、「承知」という言葉は「承る」という言葉があるので、それだけで丁寧になります。上司やお客様など立場が上の人に対するメールであれば「承知しました」「かしこまりました」とするのが○。結びの言葉として使います。とくに、良好なお付き合いを願いたい社外の人に対してメールを送るのであれば「今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いします」と使うといいでしょう。社内向けの場合でも「今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げます」と初めての挨拶や上司への詫びの言葉などで使います。ビジネスメールでは基本的に使いません。重要な案件なら本文の最初のほうで書くべきですし、追加で読ませるのは失礼でしょう。ただ、内容や送る相手によっては自分の気遣いを示すことができます。プライベートでも付き合いがある人に「追伸。昨日はおいしい食事をご馳走になり、ありがとうございました」とか、部下に対して「追伸。残業お疲れ様です。あまり無理はしないでください」と入れれば、堅苦しさがなくなります。緊急の用件でメールをしつつ、詳細については後程説明したい場合に用います。締めの言葉として「取り急ぎご連絡させていただきます」というように使い、その後追ってメールか電話で詳しく説明するのが理想です。ビジネスメールでは「お世話になっております」などと使うのが通例で、あまり使わない言葉です。しかし、「お久しぶりです。いかがお過ごしでしょう」「ご無沙汰しております。お元気で活躍中とのことと存じます」など、相手を気遣い、褒める表現と合わせて使うのはOKです。目上の人には、より尊敬の意味合いが強い「ご無沙汰」を使いましょう。一見、相手へ感謝を述べ、気遣っているような言葉ですが、尊敬の意味はあまり含まれていない言葉です。同僚や部下はともかく、社外の人や上司の方に助けていただいた場合は「お手数をおかけしました」「ご迷惑をおかけしました」という表現のほうが好ましいでしょう。恐縮という言葉は、相手から厚意を受けた感謝と申し訳なさを表します。ビジネスメールとしては、社内で表彰され「皆様から受けた親切と励ましの言葉に、ただ恐縮するばかりです」などと、へりくだりつつ感謝を伝えたいときに適しています。また、断りのメールを送る場合も申し訳なさを表現するために「ご面倒をおかけして誠に恐縮ではございますが、なにとぞご理解いただけますようお願い申し上げます」と使えます。社内の複数人へメールを送る際、冒頭で「営業部各位」などと記します。ひとまとめにすることは失礼ではないか、と考える人もいますが、「各位」という言葉そのものが敬称なので、目上の人に対して用いても失礼にはあたりません。ご足労いただくという言葉は、わざわざお越しいただくという言葉であり、相手の行動を敬うものです。ビジネスシーンにおいては、こちらから出向かないといけないところをお越しいただき、ありがとうございます、ということになるでしょう。そのため、使い方としてはすでにお越しいただいたあと、「ご足労いただき、ありがとうございました」とお礼の言葉に使います。逆に、依頼の意味で「ご足労おかけいたしますが、お願いできますでしょうか」と使うのは、意味こそ通じますが適切ではありません。その場合は、普通に「お越しください」と使えばOKです。ビジネスメールには、さまざまな表現や言葉遣いがあり、新社会人からしてみると、一見難しいように思われます。しかし、大切なのは相手への気遣いであり、自分の誠意を示すことです。相手がこのメールを読んで不快にならないか、きちんと意味は通じるか、説明が足りない点はないかなど、相手の側に立って見直してみるといいでしょう。一方で、新人のころはメール対応に割く時間がなくなりがちです。早めの返信や電話連絡も兼ねるなど、メールを使いこなすコツをしっかりと押さえ、効率アップを図りましょう。そうした社会人としての姿勢とコツを、メールでも業務でも見せることができれば、周囲からの評価にも繋がることでしょう。ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 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