124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/11 23:19:07 ID:g1SoH5jU0. 2016年にはアニメ化10周年を記念した「涼宮ハルヒの大成 Super Blu-ray BOX」を発売。第1期14話の音響を5.1chに再構成し、本編全28話に加え、劇場版『ロシアでは深夜アニメの増加と深夜アニメが2016年に2017年3月10日に※キャラクターソングのチャート順位は2006年2月3日から12月29日まで読書好きの宇宙人である長門有希が100冊の様々な種類の本をお薦めするという企画が、『ハルヒシリーズの楽曲をプログラムとする演奏会が、舞台である涼宮ハルヒの憂鬱( 2006年版ではネット上ではCDの売り上げを1位にしようという運動が盛り上がり、プラカードを作ったファンもいたという本作では、エンディングのキャストの表示(掲載順、位置、大きさ)がその回のキャラクター同士の関係性、心情、立場などによって変化するという演出がなされている次回予告は後に発売された『第1期シリーズBDBOX』、『涼宮ハルヒの大成 Super Blu-ray BOX』に収録されている。『孤島症候群(前編)』と『射手座の日』のTV放送版の次回予告は、ライブDVD『涼宮ハルヒの激奏』にも収録されている。『ブルーレイコンプリートBOX』には収録されていない。 2010年に「涼宮ハルヒの憂鬱Blu-ray Complete BOX」が発売された。第2期の本編全28話と、特典映像として、ロケハン映像・メイキングクリップ・平野綾(涼宮ハルヒ)PVメイキングが再録されたほか、涼宮ハルヒの激奏のライブパート・涼宮ハルヒの弦奏(本編映像のみ)・『谷口が行く、新不思議発見』全8話、CM集などが収録された。封入特典として下敷きが全5種中1枚が収録された。DVD版に収録されていた映像のうち、第1期次回予告(TV放映版、DVD版の収録順に合わせた差し替え版共)、ノンテロップオープニング・エンディング主題歌映像、2009年版の特典ディスク収録映像などが収録されていない。 DVDは最初に発売された『朝比奈ミクルの冒険 Episode00』を除いて時系列順に収録されている。収録されている次回予告もそれにならう形となり、長門有希がサブタイトルを言う形式に変更された。(TV放送版の次回予告も映像特典としてDVDに収録されている。) また、ハルヒの閉鎖空間は灰色で太陽の光すらない不安定な空間なのに対し。 佐々木の閉鎖空間はクリーム色をとことん希釈したような、光に満ちた空間であり非常に安定したものであるという点も異 … 第二十一話 ジュリエット? てことはSOS団でロミジュリを上演するつもりなのか。こいつは常々「恋愛なんで精神病の一種」だとか言ってなかったっけ。「ロミオとジュリエットは恋愛ものの戯曲だろ」「そうよ、それがどうかしたの?」「お前、恋愛なんてものには興味がないとか言ってただろ?」「主題なんてのはどうでもいいわ。観客が喜ぶものを上演することが大切なの。それがエンターテインメントなのよ!」 どこかの売れない映画監督が言いそうなセリフだな。 ……待てよ。そうするとロミオは佐々木になるわけだ。確かに朝比奈さんはジュリエットって雰囲気じゃないしな。配役としては桐野さんが合っているようにも思える。 などと考えていると部室に着き、ハルヒが扉をバンと勢いよく開けて【たまにはノックくらいしらどうだ。朝比奈さんがお着替え中だったらどうすんだよ】【いいのよ。見られて減るもんじゃないでしょ】【減ったらどうするつもりなんだ】中に入り、俺がそのあとから入って扉を閉める。長門と朝比奈さんはすでに来ていた。ハルヒはそのまま団長机に座り、俺も指定席に座った。 しばらくすると「遅くなりました」と古泉がやってきた。「全員揃ったわね」 そう言ったハルヒは、椅子から立ち上がり団長机の前に立って腕を組み、「我がSOS団は文化祭で演劇を上演します!」 それを聞いた朝比奈さんはポカンと座ったまま、麗しい瞳でハルヒを見つめ、長門は何事も起こっていないように、ピクリとも動かず読書に ハルヒは団長机の後ろに置いてあった段ボール箱から紙の束を取り出して、俺達四人にそれを配る。A4の紙が二十枚ほどホッチキスで留められた、それは脚本のようだった。「こんなもの、いつ作ったんだ?」「新年度に入ってからよ。何度も作り直したけど」 そういえば、春からパソコンをカチャカチャやってたな。 表紙には大きく演目が「ロミオとジュリエット(SOS団スペシャル版)」と書かれている。表紙をめくると一枚目には主な配役がこう書かれていた。 ロミオ:佐々木 ジュリエット:桐野 マーキューシオ:谷口 ベンヴォーリオ:コンピ研部長 ティボルト:涼宮ハルヒ 乳母:鶴屋さん パリス:古泉 バルタザール:国木田 ロレンス神父:新川さん 薬屋:長門 監督:涼宮ハルヒ 黒子:キョン、その他「なんだハルヒ、自分も出演するのか?」「いい配役が誰も見つからなかったのよ。本番までに見つかれば、あたしは交代するわよ」 それからページをめくって見ると、場面もセリフもかなり省略されているようだ。三十分で全幕上演するのは無理だろうからな。それは仕方がないが、「セリフの途中に抜けてる個所があるみたいだが、これは何だ?」「そこはアドリブよ」「お前、演劇をアドリブでやらせようってのか?」「そうよ。その場の雰囲気を大切にするのよ!」 こりゃあ、今からでも大体の予想がつきそうだな。もともと演技なんてやったこともない素人を集めておいて、その上にアドリブなんてものを入れたらどうなるかってことくらい、誰だって解りそうな話だぜ。「本読み、読み合わせ、舞台稽古などもするのですか?」 古泉が何やら嬉しそうに訊くと、「そうねえ、何もしないわけにはいかないわね。放課後にこの部室でやれることだけすればいいんじゃない」 そんなので芝居になると思っている、こいつの頭の中を見てみたい気がする。「ロミオとジュリエットとならみんな知ってるから、適当にやればできるんじゃない」 なんてことを言いやがるんだ、こいつは。世界中の役者さんに謝れ。「あっ、あの、わたしは出なくてもいいんですか」 勇気を出してライオンの前に出てきた小動物みたいな様子で、朝比奈さんが恐る恐る訊く。「みくるちゃんは衣装係ね。配役を考えたんだけど思いつかなかったのよ」「ああ、よかった」 有罪判決を覚悟していた被告人が、裁判長から一転無罪を言い渡されたようである。「衣装係っても、どんな衣装を用意させるつもりなんだ? エリザベス朝の衣装なんて作れないだろう」「舞台は現代にすればいいのよ。その辺の古着屋さんかどこかで、それらしいのを見つけて少し仕立て直せば何とかなるんじゃない。それからキョンと古泉くんは簡単でいいから舞台と小道具なんかもお願いね」 どうやったら、そんなものが簡単に作れるのか教えてもらいたいね。 向いに座っている古泉が小声で、「そのあたりのことは『機関』でなんとかします」 ということでSOS団はめでたく、SOS劇団として文化祭で演劇なるものをすることに決まった。――もう好きにしろよ。 数日後の放課後から北高生の関係者は文芸部室に集まったが、まず本読みは飛ばして、いきなり読み合わせになった。しかし本来の筋と違っている上に、セリフも微妙に変えられていて、「おい国木田、そこはこうだろ」「いや、確かこれで合っていると思うよ」 てな感じで、稽古以前の問題である。 ハルヒはそんなことを少しも意に介さない様子で、団長椅子に足を組んでドカッと座って、ぷはぁーと朝比奈さんが淹れてくれたお茶を飲んでいた。 ジュリエット役の桐野さんは古泉が説得して出演が決まり、主役のロミオとジュリエットはクラスメイトということもあって、北高には来ずに当分の間は二人で演技の練習をすることになった。 数日が経って『舞台稽古』の帰り道、古泉と一緒に通学路になっている坂を下っていると、「あなたは今回の演劇をどう思われますか?」「ハルヒの気まぐれなんじゃねえのか。特に深い意味はないと思うぜ」「僕もそう思います。この劇と佐々木さんに起こっている現象などは関係ないとね。――こうやってご一緒に帰ることも少なくなりましたし、ちょうどいい機会ですから僕の考えをお話ししましょうか」「何だ? 話って」「涼宮さんが佐々木さんを臨時団員にした理由です。一つではないと考えた方がいいと以前に僕が言ったことです」「そのことか。で、何なんだよ? お前が考えている別の理由ってのは」「一年生の春休み最後の日でしたよね。涼宮さんと佐々木さんの邂逅は」 古泉がそう言った、ちょうどその時に、横にあった「邂逅と言ってもほんの少し言葉を交わしただけだったように思うが」「確かにそうでした。それに涼宮さんと佐々木さんが同じ小学校だったことは『機関』の調査で解っています。涼宮さんはそのことに気づいていなかったようでしたが、あの時に涼宮さんの深層意識はすでに気づいていたのかもしれません」 そう言ってから、また楓の葉を二回転ほどさせて、「事の始まりは、その次に佐々木さんが涼宮さんと会った時の佐々木さんの言葉です」 あれは佐々木が橘京子と周防九曜を連れて現れた日か。「だが、あの日もハルヒは佐々木とほとんど話さなかったと記憶してるんだが。それにハルヒの深層意識が気づいていたのは藤原や橘京子のことだろう。だから時系列の分裂が起こったのだろうと、お前が言っていたことじゃあないか。それと佐々木の臨時団員に何の関係があるんだ?」「そこには何も関係はないでしょう。時系列の分裂を必要としたことは涼宮さんの深層意識からすれば まったく解らん。だとしらた一体他に何があると言いたいんだ。「よく思い出してください。あの時に佐々木さんが涼宮さんにかけた言葉を。自分ではなく、他の誰かさんについて言ったことですよ」 そう言われて俺は記憶の細い線を過去に辿っていく。佐々木がハルヒに言ったこと。「……『涼宮さん、キョンのことをよろしく頼みます』だったような。その後にも何かを言っていた気がするが、あまりよく思い出せない」「それだけでも充分だと思います」 あの佐々木の言葉がハルヒの深層意識と、どう関係するんだ?「涼宮さんの深層意識は佐々木さんの言葉が気に入らなかったのだと僕は考えます」「どうして、あの一言でそんな感情になるんだ?」「春休み最後の日に、佐々木さんは自分をあなたの親友だと涼宮さんに自己紹介しましたよね。それを機に閉鎖空間が頻繁に出現するようになった。もし涼宮さんが佐々木さんの言葉通り、単なる友人だと受け取っていたなら、そんなことは起こらないでしょう。そう思いませんか?」「それでもハルヒなりに、それを解決したから閉鎖空間の出現は収まったとか言ってなかったか」「ええ、それもありますが、それと佐々木さんの件は別問題です。親友と言われても男女の仲ですからね。誰だって同姓と同じには考えないでしょう。やはり佐々木さんは何らかの好意をあなたに対して抱いていると考えるのが普通です」「俺はそういう風には感じていないんだがな」「あなたがどう感じているかは問題ではありません。涼宮さんから見れば『キョンのことをよろしく頼みます』と言われたのは、自分は身を引くのでお願いします、と言われたのと同じようなものです。あなたと涼宮さんは、付き合っているわけでも何でもありません。それなのに、あなたに好意を抱いていると思われる佐々木さんから、自分は身を引くなんて言われたらどうですか」 簡単に言えばハルヒの深層意識が腹を立てたってわけか。「涼宮さんからすれば勝手に決めつけられて、勝負もしていないのに勝ちを譲られたようなものです」「ハルヒの性格なら、いい気はしなかったってことか」「そうでしょうね。それにあの時の佐々木さんは、どこか斜に構えているようなところがあった。自分と対等になれる可能性を持っていながら、正面からそれに向き合わないような佐々木さんの態度が納得できなかった。涼宮さんの深層意識は佐々木さん自身がそれに気づく必要があるとも思ったのではないでしょうか」「ハルヒは佐々木の中に自分と似たようなものを見たのに、佐々木がそれに向き合う姿勢が間違っていると思ったってことか」「そう思います。だから今の関係を築いているのだと考えています」 古泉の話を聞いて、確かに佐々木が少しずつ変わってきていると感じていた自分に気づいた。佐々木は純粋な水に何か、わけの解らない不純物が混じっているような、そんな印象があった。だが、最近の佐々木からはその不純物が薄れてきているような――。「僕の想像が合っているか否かはどっちでもいいんです。今の涼宮さんと佐々木さんの関係はとてもいいと思っているんです。それだけで僕は満足なんですよ」 古泉はそう言って、持っていた真っ赤な楓の葉を高く上げて秋空にそっと置いた。ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)応援したユーザーはいません機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。