最も速く飛ぶ昆虫 ― アブ. 小野寺葉月大きいイモムシを見かけたらそれはスズメガ科の幼虫かもしれません。大きい体に見合った大食漢のスズメガ幼虫。成虫と合わせて種類や生態、駆除と防除についてまとめました。■■■■ オオスカシバ幼虫。おしりに尾角(ビカク)というツノのようなものがあります。スズメガはチョウ目スズメガ科の総称です。世界中に約1200種ほどいることがわかっています。幼虫、成虫ともに比較的大きく、お庭で遭遇するとその大きさにちょっとびっくりしてしまいます。成虫の翅の形は三角形で、スピードの速い蛾です。なんと時速50kmほどのスピードで飛ぶ種類もいます。翅の形や構造上早く飛べるんですね。幼虫はおしりのあたりにツノがあります。好きな植物が種類によって決まっており、食害された葉でスズメガの幼虫がいることがわかる場合があります。卵は真ん丸で葉の上に産み付けられていることがあります。卵から孵化した幼虫は、なんどか脱皮を繰り返し、若齢幼虫から終齢幼虫に変化していきます。蛹になってから完全変態し、羽化します。蛹は蝶のように糸で草花に固定されるわけではなく、地上に降り、土の中にもぐってから蛹になります。羽化すると土から出てきます。幼虫は葉っぱと同じような色の場合が多いので見つけにくいのですが、糞がすごく大きいので目立ちます。手榴弾のような造形の糞で、大きさもかなり大きいです。見かけたら付近に幼虫がいる目印なので、よく観察してみましょう。自宅で飼育したスズメガが羽化したところです。おとなしく手につかまっていました。まず初めに、スズメガ科の幼虫も成虫も毒を持っていません。なので、触れてもかぶれたりすることはありません。もし幼虫が庭木にいる場合、幼虫が大きくなればなるほどかなりの大食漢なので、庭木を守ることを考えると、取り除いたほうがいいでしょう。スズメガの幼虫は脚の吸盤がかなりしっかりしており、はがそうと思ってもなかなかはがれなかったりします。さらに、手を近づけると頭をあげて左右にブンブン!と振り威嚇してきます(これがめちゃくちゃかわいい・・・と小野寺は思うのですが)。結構重量があるので威嚇で枝がしなることがあります。スズメガ科は、ウチスズメ科・スズメガ亜科・ホウジャク亜科にわけられます。終齢幼虫になると体の色がぐっと濃い茶色に変化します。マメ科の植物、サツマイモなどヒルガオ科の植物につきやすいです。▼サツマイモの記事はこちらもチェック!LOVEGREEN編集部 ベニスズメの成虫はピンクと抹茶色のツートンシロツメクサ、ミソハギ、ツリフネソウ、▼シロツメクサの記事はこちらもチェック!大宮栞 幼虫にシモフリのような白い筋が入っているのが特徴。成虫はビロードのようなグレーと黒の模様です。顔つきは精悍で格好よいです。プリペットやシマトネリコ、ネズミモチ、イボタノキ、ハシドイ、ヒイラギ、▼戸松敦子▼虫が付きにくい庭木についての記事はこちらもチェック!小野寺葉月 オオスカシバの幼虫は▼オオスカシバの記事はこちらもチェック!小野寺葉月ハチドリやオオスカシバのようにホバリングしながら花の蜜を吸う。オオスカシバのようには翅が透けていず、翅を休めているときはスズメガ科のフォルムをしている。写真はおそらくホシホウジャク。 ヘクソカズラ・アカネ・ 成虫のスズメガが飛んでいるところはなかなか見かけることがありません。飛ぶときのスピードが時速50kmと非常に速いためと、夜行性だからです。スズメガは種類によって特定の植物に発生します。一度発生すると同じ時期に何匹か幼虫を見かけることがあります。わたしの実家の・幼虫を探すときは糞を目印に探す・一度幼虫を見つけたら同じ植物に発生しやすいので定期的に確認する・成虫は夜行性。幼虫成虫ともに毒はありません・庭木のなかでスズメガに好かれる木については発生時期はとくに定期的に確認しましょうスズメガは食害がすごいのと糞も目立つので、かわいいのですが野放しにしておくのはなかなか大変です。幼虫の小さいうちに補殺することをおすすめします。もし、虫を飼うことに抵抗がなければ育てて孵化させるのもおすすめです。▼編集部のおすすめLOVEGREEN編集部LOVEGREEN編集部LOVEGREEN編集部中高短で美術を学び、卒業後観葉植物も扱う雑貨店で店長、バイヤーを担当。産後LOVEGREEN編集部で季節や庭木、虫の記事担当しつつ、説明や挿絵などで再び絵を描き始める。Botapiiでもエディブルガーデン他のイラストを担当。縁あって現在はフィリピンのセブ在住。ダイビングリゾートで広報も担当している為、海の中やマクロダイビングの世界に夢中。魚より珊瑚やホヤ、海藻など植物寄りの世界が好き。勘と勢いで生きている。
千葉大学工学部電子機械工学科教授劉 浩 氏りゅう ひろしりゅう ひろし 1963年、中国遼寧省沈陽市生れ。85年、大連理工大学応用力学学科卒業、92年、横浜国立大学博士課程修了。名古屋工業大学、理化学研究所などを経て、現職に。計算力学やバイオメカニクスなどの研究に従事。昆虫の自由飛行を再現できるシミュレーターの開発等を行なっている。2006年1月号掲載──先生は、昆虫の羽ばたきのメカニズムについて研究されていると伺っております。現代では、科学によってあらゆるものが解明されてきているにも関わらず、意外にも「昆虫の羽ばたき」については、未だに謎が多いそうですね。 飛行機の設計とは違い、羽ばたきを人工的に造るのは、現状では不可能な状態です。──昆虫の羽ばたきは、どんなところが優れているのですか?──もちろん飛行機でしょう。 ──それは意外です。──体は小さくてもスピードは圧倒的にミツバチが速い!──安定飛行とは、横風を受けたときなどに、バランスを崩さず、元の状態を保つことですよね。──なるほど。スピードが速く、なおかつ安定制御されている昆虫の羽ばたき飛行は、非常に高度な飛行技術というわけですね。──ところで、同じ空を飛ぶのでも、飛行機と昆虫とでは、飛び方が異なると思いますが、それぞれの飛行のメカニズムについて教えてください。飛行機の場合、揚力は翼、推進力はエンジンで得ており、これに対し昆虫は、羽ばたきだけで両方の力を発生させているのです。──具体的にはどういった仕組みなのですか?すると、翼への圧力は、下面の方が大きくなるため、上向きの空気力が発生します。──その力が揚力ですね。──何百人もの乗客を乗せたジャンボ機が飛べるのは、翼の上下の圧力の違いにより、自重を上回る大きな揚力を生み出しているからなのですね。それでは、羽ばたきだけで揚力と推進力を同時に発生させる昆虫は、どのような飛び方なのですか?また、翅の横方向の動き「8の字回転」でも揚力を得ていると考えられています。──昆虫は、羽ばたきながら、この空気の渦を上手く捉えて飛んでいるというわけですね。 ──やはり同じ飛行体でも、2つは全く違う飛行メカニズムだったのですね。ミリサイズの昆虫の世界では、空気流に乱れが生じ、うまく揚力が生れません。だから、体の小さい昆虫は、空気の渦を利用した飛び方をするのです。──それでは、大きい物と小さい物で、飛び方が変る境目というのはあるのでしょうか?また、羽ばたきの回数と体の大きさにも、関係があることが分ってきました。──それはどういうことでしょう?──瞬時にそれだけの回数、羽ばたいているとは驚きです。羽ばたき模型では、無風状態で浮くことはできても、少しでも風を受けるとすぐに制御不能となり、墜落してしまいます。昆虫のような、ホバリング、急旋回は、人工的にはとてもマネできない動きなのです。 ──では、なぜ昆虫は安定制御しながら、自由飛行ができるのですか?一つの説として、もしかしたら、われわれが知らない、現代力学のさらに上の世界があるのかもしれません。──とおっしゃると?これを上手く利用できたら、瞬間移動も夢じゃない(笑)。──もしかすると、近い将来、昆虫サイズの小型飛行体が、誕生するかもしれませんね。順調にいけば、原型モデルが4、5年後には完成する予定です。──先生もこうした研究をされているのですか?コンピュータを使えば、模型だけでは不可能な、空気力や慣性力も考慮でき、昆虫飛行の全体像を把握できるからです。──コンピュータ上なら昆虫の自由飛行を再現できるのですね。「MOTH-1」と名付けた羽ばたきロボット。風洞を使ってシミュレーターの実力を検証中(写真提供:劉浩氏) ──これを利用すれば、すべてを計算でき、本物の昆虫ロボットの改良点など、実際の設計にも役立てられるのですね。──そうした研究はどの辺りまで進んでいるのですか?──これが進めば、昆虫ロボットの実現も近いものですね。でも昆虫は小さいですから、実際のロボット作りは大変な作業ですね。──将来的に、昆虫ロボットが完成すれば、どのような場面で応用できるのでしょうか?また、昆虫ロボットにCCDカメラを積つめば、人間が立ち入ることのできない現場でも、ライブで中継することも可能です。あっては欲しくないですが、もちろん軍事に用いれば、強力な武器となるでしょう。──いろいろお話を伺いましたが、昆虫の羽ばたきを研究することが、われわれ人間の社会にとって、実にさまざまな可能性を秘めていることを感じました。──夢のあるお話ですね。実用化に向け、研究が着実に進展していくのを楽しみにしています。本日はありがとうございました。 いずれの小さな虫も湿度が高い場所に発生しやすく、梅雨から夏の時期にかけては大量発生する可能性もあるため注意が必要です。 加えて、小さい虫ほど繁殖するスピードも速いことから、飛ぶ虫、飛ばない虫、どちらも早めに駆除しましょう。特に、キッチンや浴室といった暖かい場所、水回りに繁殖する虫が多いです。