まずは解糖の3つの不可逆反応を再確認しておきましょう。10段階の反応のうち、3つの反応は「不可逆反応」で解糖の調節段階になっていました。解糖における3つの不可逆反応の位置はこちら↓解糖の調節として覚えてことが望まれるのは、グルコースの細胞内への取り込み、ヘキソキナーゼ、6-ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼの調節になります。 リン酸化は,もう1つの基質であるatpのリン酸基がグルコースに転移されることによる [転移反応]。解糖のこの反応は不可逆であるため,逆反応である脱リン酸化は加水分解反応を使う (糖新生)。 ピルビン酸キナーゼ は解糖の「 不可逆反応 」 の一つで、「ホスホエノールピルビン酸」を「ピルビン酸」にします。 ※キナーゼは リン酸化酵素 のことですが、ここでも逆反応から名前がついています。 可逆反応は、受動的に行われる 「解糖系を制御できない反応」 不可逆反応 は、能動的に行わる 「解糖系を制御する反応」 不可逆反応の酵素 でも特に 「ホスホフルクトキナーゼ(PFK)」 が重要になる。 アラニンは、ピルビン酸にアミノ基をつけたものです。ですので、アラニンからアミノ基を取り外してピルビン酸になります。このように、肝臓に到達したそれぞれの糖源生アミノ酸は、上記の5つのいずれかの物質にかえられて、糖新生に参入していきます。少し脱線しますが、乳酸脱水素酵素(LDH)は採血の項目にもありまして、以下の記事でわかりやすく解説しています。極力正しい情報を発信することを心がけていますが、わたくし個人が執筆しているものですので、あくまで参考程度にお考えください。糖新生の反応経路は、どの物質からスタートするかによって異なりますが、大きな経路は上の図のオレンジ色で示した矢印になります。ミトコンドリアの外に出たリンゴ酸は、オキサロ酢酸に戻されます。フェニルアラニンとチロシンはフマル酸に変えられてクエン酸回路に入っていきます。バリン、スレオニン、メチオニン、イソロイシンは、いくつかの段階をへて、スクシニルCoAに変えられてクエン酸回路に入っていきます。糖新生って何?っていう人は下記の記事でわかりやすく解説していますのでよかったらご覧ください。というわけで、今回は糖新生の反応経路について詳しくみていきました。参考になれば幸いです。このように、糖新生は解糖系を逆行して進んでいきますが、単純に逆行できない箇所が3カ所あって、一部迂回路をとおったり、解糖系のときとは違う酵素を使ったりします。冒頭のほうでも説明したように、解糖系において単純に逆行できない箇所、もしくは解糖系とは違う酵素を使う箇所が3カ所あると説明させていただきました。④フルクトース-1、6-ビスリン酸から③フルクトース-6-リン酸の反応経路では、「フルクトース-1、6-ビスホスファターゼ」という酵素によって反応が起きます。なお、筋肉の中にあるたんぱく質の分解によって発生するアミノ酸が、糖新生でもっとも使われる材料になります。ピルビン酸は、リンゴ酸経由でホスホエノールピルビン酸になり、解糖系を逆行していきます。そもそも、α-ケトグルタル酸にアミノ基をつけたものがグルタミン酸です。ですので、グルタミン酸のアミノ基をとればα-ケトグルタミン酸になります。今でも現場で働く現役バリバリの臨床工学技士で、透析関係のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。②グルコース-6-リン酸から①グルコースの反応経路では、「グルコース-6-ホスファターゼ」という酵素によって反応が起きます。ピルビン酸以降の流れは、「⑩ピルビン酸 → ⑨ホスホエノールピルビン酸」という解糖系の経路を逆行することができないので、迂回路を通ります。なお、糖新生は主に肝臓でおこなわれていますが、腎臓と小腸でもおこなわれています。<注意事項> 本ブログに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、掲載された情報に基づく判断については利用者の責任のもとに行うこととし、本ブログの管理人は一切責任を負わないものとします。 本ブログは、予告なしに内容が変わる(変更・削除等)ことがあります。これからは、個別に糖新生の材料が、どの地点から糖新生の経路に合流していくのかをみていきます。その他、セリン、グリシン、システイン、トリプトファンらもピルビン酸へと変えられます。糖新生の概要については下記の記事でわかりやすく解説しています。アスパラギン酸とアスパラギンは、アミノ基をとればそのままオキサロ酢酸になります。上記の反応経路に関しては、迂回路をとおることでこの問題を解決しました。ピルビン酸はミトコンドリアの中に入り、オキサロ酢酸に変えられます。ですので、いったんリンゴ酸に変換してからミトコンドリアの外に出ます。迂回路をとおってホスホエノールピルビン酸まで到達したら、あとは解糖系を一直線に逆行してグルコースになります。ちなみに、糖新生がおこなわれる肝臓と腎臓において「グルコース-6-ホスファターゼ」という酵素の活性が強いです。上記の1.~3.は、絶食時や糖質制限時だけでなく、日常的にわたしたちの身体でおこなわれていることです。© 2020 透析note All rights reserved.オキサロ酢酸は、リンゴ酸経由でホスホエノールピルビン酸になり、解糖系を逆行していきます。

この反応は 不可逆的(一方通行) で、グルコース-6-リン酸からグルコースを生成することはできません。 ちなみにヘキソキナーゼは酵素の名称で、 肝細胞では グルコキナーゼ と呼ばれることもあります。 反応② 解糖系全体図 解糖系と糖新生は完全な可逆反応ではなく、図1に示した酵素(調節酵素 regulatory enzyme)が関与する反応は不可逆である。 糖新生があることにより、糖質を摂取しない肉食動物もヒトと同じくらいの 血糖値 を維持することができる。 しかし、解糖系の「⑨ホスホエノールピルビン酸→⑩ピルビン酸」への反応経路は不可逆であるため、逆行することができません。 ですので迂回路をとおる必要があります。 (下の図のオレンジ色の矢印が迂 … ここでは、ピリミジンヌクレオチドのサルベージ経路について確認していきましょう。 プリン塩基のサルベージ経路 黒アザラシサルベージとは、「沈没船などの引上げ作業」のことをいいます。このことから、サルベー ...電子伝達系では、NADHとFADH2のどちらを電子供与体として用いるかによって、マトリクスから膜間腔へ移動されるH+の数は違っていました。今回は解糖やクエン酸回路によって供給されたNADHやFADH2 ...ペントースリン酸経路の酸化的段階と非酸化的段階   黒アザラシペントースリン酸経路ってどのような経路でしたっけ? ペントースリン酸経路は、簡単に言うと、「グルコース6-リン酸」を異化する過程 ...今回は「必須アミノ酸と非必須アミノ酸」「糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸」について学んでいきましょう。 1.必須アミノ酸と非必須アミノ酸 ○必須アミノ酸  ヒトの場合、アミノ酸の中でも特に体内では十分 ...「大学で学ぶような生命科学関連の情報を分かりやすくまとめたサイトがあればなぁ…」「専門用語の意味がよく分からない…」といった悩みを解決することを目指して更新中。今回は解糖によって生じた「ピルビン酸」がどのようにして利用されるのかについて学んでいきましょう。 1.ピルビン酸の運命 ピルビン酸には様々な利用の仕方がありますが、その中で最も重要な4つについて覚えて ...今回は糖新生の調節について学んでいきましょう。 糖新生の調節段階も主に不可逆反応にありますので、どの反応が不可逆反応であったかを確認しながら解説していきます。 1.糖新生の調節 糖新生の不可逆反応 ま ...大学で学習する生化学や分子生物学などの生命科学の基礎を自宅で学べるまとめサイトです。