『北の国から ’87初恋』の主人公、れいと純の淡い初恋から、ちょっとは大人になってからの 二人の関係を描いた、もどかしくなるようなそれでいて、うんうんと頷ける作品です。 65歳の自分にもああいう頃があった。なんて、思いません。いたって現役です。笑 『連続ドラマとして「全24話。テレビ大賞受賞作品。異例の1年2か月間に及ぶ長期ロケを敢行。スタート当初は視聴率も一時は1桁台に落ちた連続ドラマの好評を受け、10年単位で子役の成長を追う大河ドラマというコンセプトで、当初から長期シリーズとする予定で開始。ドラマスペシャルでは常時視聴率20%超えを記録した。全ての作品がビデオ化されている。 昨晩は我慢したけど・・やはりダメだった。観てしまった。遅くかえってきてから「北の国から`98時代 後編」を・・。一気に観てしまった。そうしたら案の定、この時間。 泣いたわ~ボロボロと泣いてしまった。泣きすぎてもうどうまとめていいのか?わからなくなってしまったが・・つれづれと書いてみる。ちなみにわたしはテレビを観ながらテレビの画面をデジカメでバシバシと撮っています。だから、わたしが撮っているのはうちのテレビ画面という屁理屈みたいな構造になっています。 秋になり蛍が富良野にかえってくる。正吉くんとの結婚がきまって、式までの時間を父さんの石の家ですごすことになる。いままで独りきりだった父さんの石の家につかのまの団らんが戻ってきて父さんはうれしそうだ。 そんな中、蛍の妊娠についての噂が密かに富良野の人たちの間にまわってしまう。 「お腹の子は前の男の子らしい。。」という・・・。 この出所が草太兄ちゃんだというのでわたしもテレビの前で 「この馬鹿ちんが!」とぶっ飛ばしたくなった。口が軽いのは昔からだけど・・・。本当に 「そんな大事なことをペラペラしゃべるんじゃねえ!」と誰もが思うだろう!!! 改めて観るとこの「時代」での主役は草太兄ちゃんなのかもしれない。草太兄ちゃんの善の顔と悪の顔と前回は書いたが、まさにこの両極面が浮き彫りになっている。 でもね。草太兄ちゃんの言っていることは間違っているわけではないんだよ。有機農業で借金を大きくして夜逃げまでおいこまれたカンちゃん。彼の有機農場に農薬を大量にまいたのは草太兄ちゃんだ。それでもって、追い込まれたら残酷に「裸で出ていけ!」という兄ちゃん。すごくやり方は汚いように思う。 新婚のカンちゃんはもう自殺未遂まで追い込まれて新妻と夜逃げするしかなくなる。このドラマで何軒目の夜逃げの張り紙だろうか・・・ 実際に北海道ではこういう現実が多々あるのだと倉本 聰は言っていた。 追いつめて夜逃げさせたあとの農地を安く買いつける草太兄ちゃん。新婚の家やトラクターまで買いあさる。確かに拡張させている勢いにのった草太兄ちゃんのやりかたは汚い。ように思う。純はこういう草太兄ちゃんの行為が許せなかった。確かに傍から見たら汚い。おかしくなっているんじゃないか?と思うのもわかる。 だからそんな草太兄ちゃんが純に 「農場を手伝ってほしい。」と言っても純は納得しない。まして、夜逃げさせた友人の持ち物のトラクターの移動なんて協力したくないという気持ちもよくわかる。 ただ、草太兄ちゃんのいい分も非常に正しいのだ。有機農業はお金がかかる。そして人手もかかる。だからそんなことを過疎の村で借金してやるのは危険だ!という論理。そして農業は天候に左右されるので投資が大きければ大きいほど失敗も大きい。このあたりは後に父さんが珍しく数学的な表現で説明していた通りだ。 「200分の100も2分の1も同じだけど、分母が大きくなれば分子も大きくなる。その分、リスクは大きくなるってことだ。」 と言っていたのだが、まさにその通りだと思った。 人手のいない富良野の村で夫婦だけで有機農業に借金するのはもしかしたら自滅したことになるのかもしれない。ただ、こんなことは客観視できるような立場でないとわからないことだ。だから、純のように友人に感情を持っていたら草太兄ちゃんが悪にしか思えないのも当たり前。 純は「手伝わない!」と断るがこのことが翌日、どんな結果になるか?なんて想像もできないのが人生というものだ。 純が手伝わなかったトラクター移動で草太兄ちゃんが事故死してしまう。たったひとりでトラックの下敷きになって・・・あまりに突然すぎることにまわりも純も言葉が出ない。 本当に人生なんてこんなものなのかもしれない。明日のことはわからない。まさか、草太兄ちゃんが死んでしまうとは・・・・・この状態では手伝いを拒否したことを攻めるのは仕方ないよね。純。だって、子どものころから 「兄ちゃん、兄ちゃん」っていっていた人の頼みを断って、嫌な別れ方をした翌日なのだもの。もし、自分が手伝っていたら??草太兄ちゃんは事故死しなかったかもしれない!それまでのいろんな鬱積より、この「死」に直面したら、誰だって自分を攻めるよ。 かっこつけのようでかっこつかなくて・・・がんばってしまうけど、空回りしてしまう。純も草太兄ちゃんも親戚だけあってよく似ている。 草太兄ちゃんの死はわたしにもショックだったわ。まだ、亡くなるには早すぎる!!と98年にも思った。わたしも・・・。 「草太兄ちゃんが煙になってしまった。」 と火葬場の煙をみながら蛍がつぶやく。蛍のことも純のことも草太兄ちゃんは自分の弟や妹のように思ってきた。だから、余計なお世話でも蛍と正吉くんを結婚させようとしたり、純に自分の仕事を手伝わせようとすすめたりしていた。 この人の愛なんだよね。いびつな形だけど、愛。彼はいつも誰かを傷つけてしまうけど愛はあるんだよ。。。こういう人、いるよな。と思う。 純はここで蛍に初めて聞く。 「おまえ、正吉のこと本当にすきなのか?」と・・・。 蛍が正吉を好きなようには私も見えないからね。誰もが思うよね。蛍が一言。。 「好きよ。だって、正ちゃん、大きいんだもん・・」 と答える惚れた腫れたの恋ではないのだろう。正吉の蛍をつつむような想いは「愛」という名の大きな存在なので・・・いないよね。こんな男・・・この時の蛍の表情は恋愛とは違った顔をしている。 そして、正吉くんも・・・「蛍ちゃんのことはまかせてくれ」と純に言う。 ・・・・・。男だね。。。 草太兄ちゃんの突然の死のあとはちょっと笑いをはさみつつ、草太兄ちゃんの計画していた壮大な蛍の結婚式計画が仲間たちによって引き継がれる。 父さんは頭をさげて 「勘弁してください。」というが、亡くなってしまった人の意思もある!!とみんなも引かない。 草太兄ちゃんは自分の結婚式もバカげた(失礼・・)農場挙式を計画していたが、懲りずに蛍もそりに乗せるという計画を練っていた。だから!!妊婦をそういうものに乗せるなよ!!と思うけど・・・亡くなってしまったがゆえに正吉くんも断れなくなる。 「そんなに俺たちの結婚を喜んでくれていたなら、2度は嫌だけど1度なら恥ずかしくてもいい」 というセリフも泣かせる。 文明や文化からほど遠い黒板家に白無垢セットが届いてしまったり・・・日常が質素というか?簡素というか?貧しいゆえにこの白無垢が余計に綺麗に見えてしまう。 蛍は挙式前3日間は父さんと一緒に並んで寝るといいだす。嬉しいのか?淋しいのか?複雑な父さん。お腹の子についての心もモヤモヤをこの場でもらす。でも、娘のお腹の子が動く胎動を感じて父親は攻めたりはせず、感動する。蛍、やっと父さんの側にもどってきたね。わたしは父親の隣で寝ることはできないな~ 「父さんの臭い、忘れない」とか「父さん、すてきだから」なんて言えない。今も言えない、、。 ここからの蛍の結婚式のシーンについては涙なくしては観れなかった。それでなくても娘が嫁ぐという日はセンシティブなのに・・・何もない石の家で白無垢の花嫁が挨拶をする。 着つけ、どうしたの?って着物をやっているわたしはつっこみたいけどあえて言わない。ユキコおばさんだって留袖、自分で着れないでしょ???まるでユキコおばさんがお支度したように襷を掛けているけど、無理です!白無垢は2人かかりで着つけないとお支度できないんだよ。。とはあえて言わないでおこう。 ふだんはボロ着を着ている人々がみんな礼装してごあいさつ。蛍は自分のことを「蛍」とよぶ。父さんはどうしていいのか?わからない。。 家の前での記念撮影はDVDのタイトルにもなっているシーン。 娘の結婚は息子の結婚とはちがうんだよ・・・。この3人のこんな姿はこのドラマシリーズでも唯一だよね。複雑な状況からなりたっているけど、美しいシーンだ。 雪の中を白無垢の花嫁に緋色の傘をさして歩く花嫁行列。歩くの大変そうだけど、美しい。まさに白と赤と黒の日本の色。。 花火があがってしまったり、リムジンが迎えに来てしまったり、なんだか派手な披露宴になってしまい父さん的にはおもしろくない。成金的な草太兄ちゃんの趣向がおもしろくない。それがおもしろくないのか?複雑な気持ちなのか始終、ご機嫌がよろしくない。 やりすぎなところはあるけど、故人の遺志なので許してやってよ。まあ、花嫁の父はブッチョウ面のほうが普通だしね。 ブッチョウ面で酒をあさる父さんも愛子未亡人(未亡人になってしまった。。)の持ってきた草太兄ちゃんのスピーチの練習テープを聞いたら、涙がながれてきてしまう。 カセットテープ。そんな時代でしたね。カセットテープの「HF」というアルファベットが無性に懐かしかった。この「HF」がこんなに懐かしくなるとは・・・・(ノーマルポジション、高音質でもないノーマル。私も使っていたな。。)これぞ時代だ。。 草太兄ちゃんの蛍の結婚式のスピーチ練習のカセットは・・・・もう、これ聞いて泣かない人はいない。まして、ここで語られている「おやじの苦労」「おやじの思い」とファーストシリーズから今までの振り返りの映像を観て泣かない人はいない。 この時点までの17年分のダイジェスト画像がひたすら走馬灯のように流れる。この17年分を(連ドラは6話からだけど・・・)、今年、2017年にずっとまとめて観てきたわたしにはそんなに長い時間がかかっているようには思えないのだけれども・・ 17年前は父さんも若いんだよ。1998年の時点で!!そして、蛍も純も本当に子どもで・・・そんな子どもがここまで成長して結婚する。妊娠して母になる。それはまさに「時代」の積み重ねなのです。 この「`98時代」のサブタイトルの意味をわたしは世間の「時代」の切れ目のように前編では感じた。そのくらい1998年を境に日本の生活環境のインフラが変わり、価値観がかわり、時代はかわったので。 でも後編を観て思ったのは、「北の国から」というドラマ自体が「時代」の積み重ねなのです。人の人生というのは子どもから大人への成長だけではなくて、大人には大人の苦悩があり、大人は老人へと歳を重ねていく。この重ねている時間そのものが「時代」の積み重ねなのだ。と改めて思った。 ドラマでは黒板家の家族の時間をおってきたけど、人には人それぞれの人生がありまさにそれって「ひとりひとりの時代」なのです。 つまらない人生のようであっても1人の人間が生きていくというのは「時代」をつくっていくことなのだ。ということをこのドラマを観ていて思い知らされた。 一挙に36年をまとめて観ているので余計にその「時間という時代」が凝縮されて感じてしまう。 結婚という区切りで今までの一つの家族の「時代」をふりかえるとそれは限りないドラマなのだ。 この数々のシーンを重ね合わされたら涙がとまらなくなり、ボロボロと泣いてしまった。なぜなのか?わからないけど泣けてきてしまった。 純や蛍と同世代なので同じ様に時代をかさねてきた自分の人生も振り返りながら・・・ そして、ここで流れるのが中島みゆきの「時代」。 この歌ほどぴったりの曲もない・・・。 娘の結婚式を終えて酔っぱらってヘベレケになった父さんを純が抱えて帰る。あんなに大きかった父さんが抱えられて帰ってくる。 酔っ払って寝てしまった父さんの懐には・・・別れて亡くなった母さんの写真があった。 父さんは離婚しても妻の写真をずっと飾っていた。娘の結婚式を妻にもみせたかったのだろう。ずっと懐に忍ばせていた。 そんな父さんに布団をかける息子の純。 「`98時代」はここで終わる。 このドラマを2017年に改めて見直すことになるとは思わなかった。それも一気に・・・。36年前に作られたドラマをこんなに歳を重ねて見直すことになるとは・・・最初はこんなに長く作るつもりはなかったのだろうと思った。 でも、スペシャルをつくりつづけてもらったおかげでひとつの家族の歴史に自分の人生を重ねて見つめ直すことが出来た。 単なる子どもの成長ドラマではなかった。このスペシャルもあと2週でお終いになる。 まさに時代をこえて通じるものがこの名作にはある。桜が咲く前には、終わってしまうのが哀しくもあるけど・・。 さあ、来週は最終スペシャルだ。。。2017年は「北の国から」年だわ。わたしにとっては・・・ 長い駄文におつきあいいただきありがとうございます。
「初めて会ったとき、純も螢もただただかわいかった。純が〈明〉だとしたら、蛍は〈暗〉なんだけど、『ご飯たべたか?』とか、気になって声をかけたくなるようなかわいさでした」 こう語るのは、俳優の岩城滉一さん(66)。 | 岩城滉一語る『北の国から』、「僕にとって別格の宝物」 北の国からのキャストで人気があった俳優さんと言えば岩城滉一さんでしたよね! 役名は北村草太。草太兄ちゃんで親しまれてましたよね! 岩城滉一さんと言えば、バイク好きでやんちゃなイメージがありますが、そんな勝手なイメージがあるのは私だけ?