分子標的薬は癌を攻撃してはいないようです。 となると、癌を縮小させているのは免疫細胞しかないでしょう。 この薬は一般的には1年から1年半で耐性がつくと言われています。 ですが、実際に分子標的薬だけで5年以上寛解している人がいるのです。 ©2018 QLife, Inc. 監修●田村研治 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科科長個別化治療の鍵となる分子標的薬。しかし、どんなに素晴らしい薬剤でも、それを使い続けるといずれ効果がなくなる。そのようなとき、どうしたらよいのだろうか。離れた臓器に転移がある進行がんの状態になると、従来型の抗がん薬でも、分子標的薬でも、基本的に完治させることは困難になってしまう。そこで、このような場合の治療目標は、生存期間を延ばすこと、つまり延命ということになる。従来型の抗がん薬でも、分子標的薬でも、効果がある場合には、がんが縮小していく。それでも完治に至らないのは、どうしてなのだろうか。国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科科長の田村研治さんは、次のように説明してくれた。「薬剤が効果を発揮してがんが縮小しても、それがずっと続くわけではなく、いずれ効かなくなってしまうからです。これを専門的には獲得耐性といいます。薬を使っているうちに、もともと持っていなかった薬に対する耐性を、がんが獲得してしまうのです」従来型の抗がん薬でも、分子標的薬でも、耐性はできる。ただ、耐性を獲得するメカニズムは同じではない。「従来型の抗がん薬に耐性ができるのは、がん細胞の細胞膜にあって、ポンプの働きをしているタンパク質が関係しています。抗がん薬を使い続けていると、このポンプが過剰に働くようになり、細胞内の薬剤をどんどん汲み出してしまうため、薬の効果が弱くなってくるのです」一方、分子標的薬は、これとは異なるメカニズムで耐性を獲得する(図1)。「分子標的薬は、標的となる分子(タンパク質を基に構成されている酵素など)に作用することで、効果を発揮します。そのため、標的分子が変化してしまったり、標的分子に関連する分子が変化してしまったりすることで、効かなくなってしまうことがあります」ただ、これらがすべてではなく、分子標的薬が耐性を獲得するメカニズムについては、まだわかっていないこともたくさんあるそうだ(図2)。具体的な例を挙げて、分子標的薬がどのようにして耐性を獲得するのかを解説してもらった。「非小細胞肺がん(NSCLC)の治療に使われる現在明らかになっているのは、T790Mという変異である。この変異があると、イレッサやタルセバは効かなくなってしまうのだ。耐性ができる原因は、これだけではない。「EGFRに関わるMet(受動体型チロシンキナーゼ)という遺伝子の発現が増えてくることがあります。こうなると、T790Mのような22次的な遺伝子変異であるT790Mや、新たなMet遺伝子の発現の増加。標的分子にこのような変化が起こることで、イレッサやタルセバは耐性を獲得してしまうのである(図3・4)。 肺がん薬物療法最前線―― 分子標的薬と、オプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬が、肺がん治療をここまで変えた! 第3世代タグリッソ登場で非小細胞肺がん治療はさらに進化 関連する可能性がある病気です。発疹、ざ瘡、皮膚乾燥、湿疹、爪障害、爪囲炎、皮膚そう痒症、脱毛、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚剥脱、じん麻疹QT間隔延長、血小板減少、好中球減少、白血球減少、貧血、肝機能障害、ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇、間質性肺疾患、間質性肺炎、肺臓炎、中毒性表皮壊死融解症、Toxic Epidermal Necrolysis、TEN、皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、多形紅斑、うっ血性心不全、左室駆出率低下下痢、口内炎、嘔吐、食欲減退、便秘、口内乾燥、腹痛、消化不良、頭痛、リンパ球減少症、味覚異常、眼乾燥、結膜炎、霧視、疲労、鼻乾燥、鼻出血、駆出率減少、クレアチニン増加、無力症、末梢性浮腫、倦怠感、筋痙縮、筋肉痛、四肢痛、体重減少、ALP増加、皮膚潰瘍、多毛症、爪痛、皮膚疼痛、皮膚変色、皮膚感染、皮脂欠乏性湿疹、皮膚過角化、光線過敏性反応、毛細血管拡張症、蜂巣炎、口唇炎、舌痛、腹部膨満、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、嚥下障害、口腔咽頭痛、鼓腸、末梢性ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、脳梗塞、めまい、回転性めまい、異常感覚、眼瞼炎、角膜炎、白内障、流涙増加、眼刺激、羞明、視力低下、視力障害、眼そう痒症、呼吸困難、気管支炎、肺感染、ウイルス性上気道感染、肺塞栓症、インフルエンザ、鼻漏、鼻炎症、咽頭炎、気胸、咳嗽、湿性咳嗽、発声障害、非心臓性胸痛、頻尿、尿路感染、腎機能障害、発熱、背部痛、関節痛、筋骨格硬直、高カリウム血症、低カリウム血症、深部静脈血栓症、高血圧、低アルブミン血症、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、毛髪障害、毛質異常、皮膚反応、皮膚嚢腫、黄色板腫、皮膚斑、裂傷、皮膚擦過傷、メラノサイト性母斑、口唇びらん、口腔知覚不全、心窩部不快感、食道痛、胃腸炎、呼気臭、便意切迫、肛門周囲痛、痔出血、活性化部分トロンボプラスチン時間延長、内出血発生増加傾向、播種性血管内凝固、血球減少症、脾臓梗塞、感覚鈍麻、振戦、体位性めまい、記憶障害、構語障害、知覚過敏、黄斑浮腫、網膜出血、眼感染、夜盲、眼精疲労、眼異物感、鼻炎、細菌性肺炎、鼻粘膜障害、咽頭出血、咽頭潰瘍、咽喉乾燥、喉頭痛、気縦隔症、胸膜炎、労作性呼吸困難、しゃっくり、動悸、房室ブロック、膀胱炎、排尿困難、血尿、腎結石症、悪寒、四肢膿瘍、顔面浮腫、ほてり、筋骨格痛、頚部痛、足変形、骨盤痛、耳感染、外耳炎、乳頭炎、脱水、高血糖、低リン酸血症、高コレステロール血症、うつ病、錯乱状態、幻覚、易刺激性、静脈炎、外陰腟痛、高リパーゼ血症、アミラーゼ増加、血中コレステロール増加 ビヨンドPD・耐性克服薬の研究・開発が進行中 タグリッソ錠80mgは、分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔egfr-tki〕)に分類される。 分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔egfr-tki〕)とは、上皮成長因子受容体(egfr)チロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することでがん細胞の増殖を抑制する薬。