オールドフレンチボウ,新作弓をはじめ、多数のヨーロッパ産弦楽器(バイオリン・ビオラ・チェロ他)を取り扱い、店頭展示販売している宮地楽器小金井店(東京都)。試奏室も完備していますので、ぜひお手にとってAtelier Bazin ( アトリエ バザン )の弾き心地をお試しください。 !みたいな時代になって行きつつありそうで恐いです。ちょっと話が逸れましたが当時ポルトガルの植民地だったブラジルから染料として入ったフェルナンブーコが18世紀にフランスのフランソワ・トルテにより最高の弓材と認められた為に弓にとってフェルナンブーコは必須アイテムになりました。それはトルテの時代から今も変わらず続いています。これがフェルナンブーコの木です。弓の色からは想像できないくらい普通ですね、木の中心が赤い色をしていて、まわりは白い木です。黒檀や柿の木等も同じ仕組みです。次回は弓を完成させたと言われているフランソワ・トルテに至る弓の形の変遷をお話しようと思います。下書等なくいきなり書き始めているので伝わりにくい所などあると思います。そんな時にはどしどし質問受け付けます、分からないことも多いので調べながらですがf(^_^;ではまた次回!「弓の話 2」です。お楽しみに!井田2014年の挨拶からこんなに時間が経ってしまいました。今年は、色々な歴史や文化を投稿形式で連載していこうと思い、その第一歩で弓の歴史と今の弓作りや購入できる弓について自分なりの解釈をふまえて綴っていこうと思います。普段、楽器をお弾きになる方や演奏家の方も、弓まであまり関心がいかないようで、もろろん全員がそうではないですが…例えば弓の毛を替えるとき弓をばらすのですが、「弓の毛ってこんなふうに入っていたんですね~」と言われることがたまにあります。僕も昔バイオリンを弾いていたことがあり毛替えをしに楽器屋さんに出したことはありましたが、自分の目で見たことはありませんでした。大概の楽器屋さんは預かって翌日だったり、隣の部屋に行ってしまい毛替えをする所は見られない所が多いですね。そんな中当工房親方はカウンター越しでお客さんの目の前でやるもんですからこんな会話になるんです。職人にとってはものすごいプレッシャーですが…と、まぁこんな感じで弓の構造も弓の歴史も知って貰いたい、弓は楽器の付属品ではなくて一つの楽器としての道具ですよ。ということを知っていもらえたらいいなと思います。では、次回から本格的に始まりますのでよろしくお願いいたします。ちなみに不定期です( ̄▽ ̄;)週刊とか隔週とかは決めていません。この歴史、解釈の仕方も諸説、また人により様々ですので、これから書くものが全てではありませんが興味のある方はぜひご一読ください。 井田 同じ値段の弓で、ペカット型・サルトリー型・トルテ型を弾き比べてみると、それぞれの型の違いが良くわかるでしょうね。 [14173] Re: 弓のへたり !ネタの提供いつでもお待ちしてます!ではでは、有難うございましたm(__)mこんにちは、弓のお話も終盤ですね。今回は削り弓の廃れていった理由、いま世界中で使用されているほとんどの弓が曲げ弓であることの理由をお話ししていきたいと思います。相変わらずの筆不精で申し訳ありません、本当…では、削り弓の廃れて行ってしまった理由ですが、前回のお話で製作方法が違うことを書きましたが、まさにこれこそが理由そのものではないかと思います。散々引っ張っておいてこれかよ…とか思わずに見て行ってくださいね<(_ _)>先ずは使用する材料の差です、木取りの段階で削り弓を1本分取ろうと思うと曲げ弓で2本分取れるくらいの材の差が出てしまい削り弓は同じ材で弓を作ろうとした場合に材料費が高くなってしまいます。けして安い材ではないですからどうせ作るなら1つの材の塊から沢山木取れた方がメーカーとしては嬉しいですね。それに加えて曲げ弓であればまっすぐに木取るので無駄もないですし、何より切りやすいです。削り弓は最初からカーブをつけて削り出すために端材も多く出ますし最初からカーブで切るのは中々大変です。故に大量生産に向いていた曲げ弓が本数も多く生産され広まっていたのではないかと思います。ただ大量生産が必要になったために曲げ弓の技術が進歩して行ったのか、曲げ弓の技術が進歩したために大量生産が普及していったのか、どちらが先か分りませんが、どちらにしても削り弓はその方向性とは違う1本作りの技法ですので製作者も減っていったのではないでしょうか。元々削り弓の作り方をしていた作者が晩年には曲げ弓を製作していたり、3世代続くようなメーカーも初代は削り弓、2代目は半々、3代目は曲げ弓だけしか製作していないという歴史もあります。そうして徐々に廃れて忘れられていったのではないでしょうか。実際僕はそんなに多くの弓を見てきたわけではありませんが、見てきた中ではペカット以降、例えばラミー、ボアラン、サルトリーなどは全部曲げて作られていると思いますし、その時代以降のメーカーで削りで製作していたフランスのメーカーを見たことがありません。今のフランスの新作メーカーもほぼ曲げ弓です。ほぼと言うのは僕もすべてのメーカーを知っている訳ではないのでもしかしたら居るかもしれないということで、ほぼです。もし今もフランスで削り弓があればどうなっているか分りませんが、その弓が良い弓か悪い弓かは別として弓の値段は格段に高くなるんじゃないでしょうか、曲げ弓に比べ手間とコストはだいぶ掛かっていますので値段も高くならざるを得ないでしょう。そんな数々の要因から削り弓は廃れていったと考えられます。今の時代にフランスで削りの弓メーカーがいても面白いと思いますが、きっと日本には入ってこないでしょうね(^_^;)普段皆さんが購入する弓の9割以上は曲げだとも最初の頃お話ししたと思います。残りの1割弱は今も残っているオールドの削り弓などです。なのでほとんどの方は削り弓の感触、音の出方など知らないと思います。次の回で2つの弓の特色などについてお話して行こうと思いますが、僕の感覚でのお話になるので分りにくいかもしれませんが興味のある方は是非どうぞm(__)mではまた次回、次回は間を空けずにすぐに更新する予定です。ではでは。前回弓の話3-1を書いてから2か月…思い出すために自分で読み返しまして、改めまして「弓の話3-2」弓の作り方のお話です(^_^;)。作り方は量産メーカーのように1度に沢山作るのに適した作り方と1本作りのメーカーのように1本1本作るのに適した作り方があると思いますので、違いなどその都度出来るだけ書いていこうと思います。まず、弓を作るには欠かせないシャフト(ペルナンブーコで作る部分)の木取りですが、これは前回のお話で書いた通りまっすぐに木取りするか最初から反りの入った状態かでスタートが違いますが木を削りだします。この木取りの際に大量生産のメーカーはまっすぐ木取りをした方が生産性が良いのは前回お話しました。この次に書くお話でこの違いに触れますので今回は製作工程をメインとして、スタートが違いますがどちらも木を切り出すところから始まります。この状態では大体四角い木の棒です、次にシャフトの下面フロッグのついている3面の整形をしていきます最初にこの3面を出すのは次の工程でフロッグの台合わせと言いますが、フロッグがシャフトの3面と綺麗にスライドするように整形するためです。因みに量産弓の多くは木取りをしたまっすぐの状態のまま手元は角に残っている状態で旋盤と言う機械(こけしを作ったりバット作ったり独楽作ったりするものでろくろとも言います)にかけて丸くまっすぐな棒を作ってしまいます、最初がまっすぐでないと、この工程は難しいですね、ここでも作り方に差が出てきます。そのあと下面の手元部分のみスライドする部分の整形をします。そしてここで熱を入れて反りを入れます。最初に言い忘れていましたが弓の基本の形は8角形です、丸弓は8角形を16角にして32角にして64角にしてだんだん丸になります、大体の量産弓はこの工程を省いて最初から旋盤にかけて作るので皆丸弓なんですね。そしてフロッグの台合わせをしていきます、三面にピタリと合うようにフロッグの乗る面を作りネジを取り付ければシャフトとフロッグの大体の形が出来上がります、1本作りの場合最初の3面を作ってフロッグを合わせると1本のシャフトに対して1つのフロッグしか基本的に合いません、削る面の幅や角度が全く同じ弓はないと思って下さると分りやすいです、それに対して量産の弓はシャフトとフロッグの間に銀でできたプレートがあります、これを作ることで面の幅、角度が統一されこのプレートに合わせてシャフトもフロッグも作れば基本的にどの弓にでもフロッグはマウントすることが可能になり分業できるようになりました。ヴィヨームがこのスタイルを発明したと言われています。ヴィヨームはフランスでディーラーをしていた人で工房には沢山の職人がいました、このヴィヨームが今の量産スタイルを作り出したといっても良いと思います、このときは旋盤は使っていないと思いますし、ヴィヨームの工房の製作家でも角弓はあります。この工房に有名なペカットやボアラン、ペルソワも働いていました。そして1本作りの場合この後シャフトの幅(横面)をつくりヘッドの幅フロッグの高さを決めてヘッドの毛の入る側の形、それに伴ってフロッグの幅も決まります、ここまで来るとあとは最初に作りだした面の反対側上3面を作りヘッドの形を作ればシャフトは8角形になり形はほぼ完成で、フロッグも幅と高さが決まっていますので銀細工や貝の加工などないオープンフロッグであればほぼ完成です。1本作りの場合ヘッドとフロッグのバランスが弓それぞれ木の雰囲気や強度により変えることができます。削り出しの弓の場合反りのカーブを作りながら削っていくのでとても難しい作業になります。量産メーカーは旋盤で削り出した後は大体の反りをつけて台合わせをした後はヘッドを作りフロッグの仕上げをして完成です、早いです。この後どちらも反りの修正など細かい手直しはすると思いますが大まかに弓の作り方はこんな感じだと思います。これが正しい製作工程かどうかメーカーそれぞれ違うと思いますが遠からずと言ったところでないかと思います。分りやすいように1本作りと量産メーカーとして比べていますが、弓の作り方を通して削り出し弓と曲げ弓の同じ弓でもこんなに作り方に違いがあるんだとちょっとでも知ってもらえれば幸いです。ですが今世の中に出回っている弓のたぶん9割が量産タイプの曲げ弓だと思いますので、多くの方は削り出しの弓の感触をご存じないと思います。ではなぜ削り出しの弓が作られなくなったのか?弓の作り方を最後まで読んで下さった方は予想はつくと思います。そのお話は次回。文章だけで挿絵もなく想像しにくかったかもしれませんが分らないことなどあれば何でもご質問ください、僕も実際昔の作り手を見ていないので分らないことだらけですが、全力でお答えいたします。次回は先ほどのなぜ削り出しが廃れたか?というのとこの2つのタイプ作り方が違うけど実際弾いたらどうなの?という所をお話しできればと思います。相変わらず文章が長くて説明下手ですいませんm(__)mもっと短く分りやすい言葉で説明出来るように精進します。ではではお楽しみに!!井田   今回は「弓の話1」でお話しした楽弓のストラドと呼ばれる、フランソワ・トルテに至るまでの弓の歴史をお話ししたいと思います。楽弓の起源は狩りに使う弓矢ではないかと言われていて、ハープも同じ弓矢が起源では?とも言われています、もしかしたら楽弓とハープは兄弟なのかもしれません。狩りに使う弓矢が起源としてお話しさせて頂くと、今の楽弓の形と昔の形はカーブの形がまるで違いました。バロックボウを見たことがある方は解るかもしれませんがバロックボウは弓先に行くにしたがって反りが逆になります。この図、一括りにバロックボウですが、最初の頃の弓に比べ年代が経つと反りが逆になっていくのが分ると思います。では、なぜ狩りに使う弓のカーブからほぼ逆のカーブへと移行していったのでしょうか・・・実際に弓を使って実験してみるとすぐにわかりますが、逆反りの弓で楽器を弾こうとすると安定性と直進性が無くフラフラしてとても弾きにくくなります、つまり弓が今のような反りになっていったのは直進性の確保、弾きやすさを追求していった結果だと思います。バイオリン属が登場したのが16世紀頃ですのでそのころから弓の形状もどんどん弾きやすく変わっていったのではないでしょうか。今でこそ、前回お話しした弓の材料はペルナンブーコが一番良いとされていますがバロックボウはペルナンブーコに比べると重く、硬い材料でアイアンウッドやスネークウッドという材料が多く使われていました。バロックボウ以後オールドボウの時代にもペルナンブーコ以外で作られた弓は結構あります。トルテ以降ペルナンブーコは高価で手に入りにくくなっていったとも言われていますが、フランス革命後のフランスの情勢の不安定さなのかは分りません。この時代は1789年の革命からナポレオンの時代へと続く歴史の真っただ中ですから輸入が途絶えたり流通がなくなったのかもしれません。、こんな中生きるために弓を作り続けていたんですね。こうして弓の形とともに機能性が進化してきた楽弓は図の一番下に出ているビオッティ(イタリアのバイオリン演奏家)がパリで活躍中のトルテと出会いこんな感じにしてくれ!!とでも言ったんでしょうか?助言をし、トルテが試行錯誤して今の弓の反りになったと言われています。最初は通奏低音を弾くためのものだったので早いパッセージなどは必要なかったのが、バイオリン属の発展とともに必要になったため進化して、現在の形にトルテにより完成さました。ここまでがバロックボウの歴史と言っても良いと思います。次回はそんなトルテの話も交えつつ弓のタイプの話をしようと思っています。では、また次回。「弓の話3」で!井田 さて、年始に弓の話をします、と言って1ヵ月経ってしまいました…。忘れてた訳じゃないですよ、パソコンに向かう時間を作らなかったと言い訳しておきます。ごめんなさい。それでは弓の話です。今回は弓の材料、フェルナンブーコと言う材料についてです。このフェルナンブーコと言う材は豆科の木で原産国はブラジルです。「赤い木」という意味でブラシルの国名にもなっているものです。この木がなぜヨーロッパに渡ったかというと、このフェルナンブーコはブラジリンという染料が採れるためにヨーロッパで輸入したのが始まりではないかと思います。水、アルコールに浸けると鮮やかな赤オレンジ色が出ますが、酸化しやすくしばらくすると赤黒くなっていきます。今現在、この木は過度の伐採により絶滅の恐れがありワシントン条約によって輸出入できません。今弓メーカーが生産できているのは2007年にワシントン条約で輸出入禁止が決まった以前に伐採され、輸入した分で作っているからなんです。そのうち「弓はフェルナンブーコ」と言うのは過去の話しになって、カーボンファイバー、グラスファイバーで作られた弓が主流になる世の中が来るかもしれませんね。楽器もカーボンで作られたのが出てきている世の中ですから楽器も弓もカーボン!